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みんな駆逐艦は好きか? 俺は大好きだ。 ふくらみかけた船体のライン、並んだ時の身長差、上目遣いの純真無垢な瞳……憲兵がうるさいからほどほどにしておくが、 まあその他いろいろだ、わかるだろう。あの初々しい魅力は何ものにも代えがたい。 ゆえに、念願の提督として着任した俺は、脇目もふらず駆逐艦娘ばかりを重点的に育成した。 分け隔てなく愛を注ぎ、均等にレベルを鍛え、近代化改修を重ねて彼女らを強化するのは当然。 少しでも損傷を受けた子は入渠させ、決してムリはさせず疲労が溜まらないように気を遣って、心身共にケアする。 3-2海域なんかも誰ひとり犠牲を出さず楽々突破で、他の提督が苦戦しているという噂がまるで信じられない。 その甲斐あり、いつしか司令官として、そして頼れる大人の男として彼女たち全員からの信頼を勝ち得た俺は、 手に入る全駆逐艦娘のレベルが80を越えたあの日、慰労祝賀パーティの壇上でかねてよりの心中を告白した。 「今まで黙っていたが、俺は君たちのことが性的にも大好きなのだ。ぜひエロいことをさせてほしい!」と。 そう、土下座しながら。 俺は立場を盾に行為を強要するのは死んでも嫌だったし、全員を分け隔てなく愛していたから、 特定の子へのお願い(暗に強要と取られる可能性もある)は避け、こうしたストレートかつ愚直な手段に出たのだ。 意外にも、予想した罵声や幻滅の反応は思ったほどではなく(もちろんドン引きした視線も何本か突き刺さったが)、 彼女らのリアクションはおおむね「この可哀想な人をどうしたものか」といった同情的なものだった。 「きっと提督はそういう病気なのです」「あらあら、じゃあ仕方ないわね~」「ちょ、アンタたちそれでいいの!?」 などといった会話が、床に頭をこすりつけた俺の前で飛び交っていたのをよく覚えている。 あと、性的な知識がない子がほぼ皆無だったのも意外といえば意外だった。最近の駆逐艦は進んでいるなあ。 ともあれ、そこから再三にわたる「説明」と「説得」、そして彼女たちの間での「協議」の結果、 「それぞれが嫌じゃない範囲のことを提督にしてあげよう。あと本番はNG」という形で合意が成立した。 積み重ねた信頼と実績、一種の正直さが功を奏したらしい。いやー言ってみるものだ。 これでだめならすっぱり諦めて任務に戻る(あるいは辞表を出すor社会的に死ぬ)つもりではあったが、なんとも嬉しい誤算だ。 ―――そして今夜も、元気なノックが鎮守府執務室の扉を叩く。 「おまたせー司令官。準備してきたよー!」 キラキラした笑顔で真っ先に入ってきたのは、雷。 「まったく、なんで私がこんなことしなくちゃならないのよ……」 一人だけ不満そうな表情の叢雲がそれに続く。 「強制任務じゃないんだ。嫌なら無理に参加しなければいいじゃないか」 最後はいつものクールな表情を崩さない響。今晩、俺の相手をしてくれるのはこの三人だ。 なにせ駆逐艦は計46隻、毎朝と毎晩に3~4人ずつでやっと一週間サイクルのローテーションが完成する計算になる。 「そ、それは、べつに嫌ってわけじゃ……って、アンタなんでもう全裸なのよ!?」 いや、待ってるうちにテンションが上がってつい。赤面して顔をそらす叢雲が可愛い。 「わわっ。えっと、雷たちも脱いだ方がいいのかな?」 あ、いえ、むしろそのままでお願いします。いつも見てる服装の方が興奮するからね! 「やれやれ。司令官は本当に変態だね」 ありがとうございますご褒美です。響にそう言われるとそれだけで主砲の仰角がちょっぴり上を向いてしまうぞ。 おいでおいでをして、三人を招き寄せる。わーい、と楽しそうに走ってくる雷と、目をそらしたままの叢雲が対照的だ。 そのまま小柄な体をまとめてぎゅうっと抱きしめると、いい香りのブレンドがふわっと柔らかな髪から漂ってくる。 「司令官にぎゅってされるの好きー」「同感だね。悪くない」「ちょ、硬いのが当たってるんだけど!?」 そりゃこんな至福の状態でフル勃起しないわけがない。 あー、ぷにぷにして柔らかいけど、所々未発達で骨っぽい部分もある、これが駆逐艦だけの至高の抱きごこちだ。 「ねーねー司令官。キスしようよ、キス!」 おお、雷は積極的だなあ。でもせっかくだから……と、きょとんとしてる三人をベッドの上に立たせる。 だいぶ身長差があるから、これで俺が少し中腰になってやっと顔の高さが揃う感じだ。 んちゅ、れろっ……と、俺を中心に寄せられた顔の間で奇妙な水音が響く。 「うう……三人いっぺんにキスとか、よくもこんな変なこと考えつくわね……」 「ん……奇妙なпоцелуй(パツィェルーイ:接吻)だね。嫌いじゃないよ」 「もう、最初は雷だけにしてほしかったんだけどなー。まあいいけど!」 口づけというより、限界まで伸ばされた俺の舌に三人の小さなそれが、三方向から伸ばされ舐めているといった形だ。 向かって左側が叢雲、右側が響。そして先端に向かい合う形で雷。 みっつの刺激が踊ると同時に、彼女らの、いい匂いのする吐息が唾液と共に混じり合い、俺の鼻孔をくすぐる。 おずおずとためらいがちに伸びる舌、静かだが熱心に動く舌、積極的に先っぽをついばむ舌と、積極性の違いも面白い。 細くて抱き心地のいい体を三人分まとめて抱いている感触もたまらない。 ややあって、間に銀色の糸を引いてそれぞれの唇が離れる。名残惜しいが、油断するとこれだけで射精しそうだ。 「いつものアレをしてほしいんだね、司令官」 ベッドにごろりと横になった俺に、そっと身を寄せながらささやく響。 声はいつものやや低いトーンだが、その瞳はほんのわずかだけ期待感に濡れている。俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。 「はいはーい、じゃあ雷は右側担当するよー!」 ころんっ、と俺を挟んで響の反対側に横たわる雷。ぺろっ、とその健康的なピンクの舌が再び伸ばされる。 両サイドから迫る駆逐艦たちの可愛い舌、その目標は、俺の両乳首だ。 ぺちょ、くちゅっ……っとふたつの柔らかな感触が同時に到達し、うほぉお……! と思わず声が漏れてしまう。 「ふふ。女の子みたいな声が出てるよ、司令官」 「ね、かわいいよねー」 すぐに恥ずかしく勃起してしまう突起を舌でねぶりながら、いたずらっぽさを含んだ上目遣いふたつが俺を見上げる。 それぞれの髪の毛が胸板に落ちかかって、さわさわと撫でくすぐる感触も、いいアクセントだ。 「んっ……ちゅ、れろろっ……いつもお仕事おつかれさま、司令官」 「雷たちがいっぱい癒してあげちゃうねっ……ちゅっ、ぺろれろっ、んりゅりゅっ……!」 突起に強く吸い付きしゃぶりながら、ちゅうちゅうとミルクでもねだるように吸い上げる雷の舌。 響は舌先を硬くとがらせて、乳首を何度もはじくように刺激してくる。 体温の違いからか、雷のあったかさに比べ響の舌はやや冷たく、 その差もまた俺の敏感な部分にビリビリとたまらない快感を送り込むスパイスだ。 ああ溶ける、気持ちよすぎて脳が溶ける。俺はいま天国にいる! 生きてて本当に良かった、駆逐艦好きでよかった! ふと、一人だけ出遅れた叢雲が、ベッドに投げ出された俺の足の横で所在なげにしているのに気付く。 もちろんそれを見過ごす俺ではない。みんな仲良く平等に、がうちの艦隊のモットーだ。 「あっ……!? す、すごい、あんなに脈打ってる……っ」 ビキビキに勃起した肉砲塔をこれ見よがしに上下させると、叢雲の凛とした美貌に興奮と情欲の朱がさした。 おずおずと、引き寄せられるように近付いたその白い指が、太い血管の走ったグロテスクな太筒に添えられていく。 そして、ぷっくりと先走り玉を浮かばせた先端、その凶悪な砲口にちいさな唇が近付き―――。 「んうっ……ちゅぷ、ぬ、ちゅううぅぅぅっ……!」 「あー! 叢雲ったらひとりでおちんちんしゃぶってる、ずっるーい!」 「おや……意外だね。ずいぶん積極的じゃないか」 真っ赤になった顔を伏せ、控えめな動作で俺の肉砲をフェラ奉仕する姿に、ようやく気付く二人。 もちろん雷も本気で怒っているわけじゃなく、響と同じで叢雲の反応をからかっているようだ。 「う、うるさいわね……! 戦場(いくさば)で指をくわえて見てるだけなんて私のプライドが許さないだけよ!」 だから別のものをくわえてるわけですね、と言うと殴られそうなのでやめた。 しかしこれは気持ちいい! 乳首とチンポをちっちゃな舌でトリプル刺激される快感、このまま死んでもいい! 至福の快楽に少しでも感謝の意を示そうと、響と雷の頭を優しく撫でる。 「わーい、なでなでされるの大好きー」 「じゃあお返しにもっと頑張らないと、だね」 小動物のように嬉しがりつつ、二人はいっそう熱心に俺の乳首におしゃぶり奉仕をしてくる。 雷の尖った八重歯が、時々ひっかくように膨れあがった先端をかすめ、それすら新鮮な快感を生み出す。 股間では、下から上へと、何度も肉幹をしゃぶりあげる叢雲。態度とは裏腹に愛情深い熱心なフェラが感激だ。 自分だけなでられる位置にいなくてちょっと寂しそうなので、あとでたくさん撫で撫でしてあげよう。 うっ、と我慢できないうめき声が漏れ、ひときわ反り返った肉棒が小さな口からあふれて、 叢雲の頬に先走りと唾液の混合液がぽたぽたとしたたり落ち、いやらしい匂いを振りまく。 「あっ、ぷぁ……!? ま、まだ大きくなるの……? そ、それに砲身みたいに熱くて硬い……!」 「ん。そろそろイキそうなんだね、司令官」 「えっもう? じゃあ雷が受け止めてあげるわ!」 射精を察し、ふやけた乳首から離れて股間の両脇に移動する響と雷。六つの幼い視線が今にも暴発しそうな砲塔に集まる。 いやいや、ちんちん担当の叢雲が頑張ったんだから優先権は譲ってあげようね雷、と諭す俺は空気の読める提督だ。 「べ、べつに譲られても嬉しくないし! で……でも、あんたがそう言うならしてあげる、わよ……」 「素直じゃないね。まあいいや雷、我々第6駆逐隊コンビは両弦からの刺激で司令官を射精に導こう」 「はーい了解。よいしょっ、んちゅっ……こうすると、なんだかハーモニカみたいで楽しいわね!」 まさにその言葉どおり、ぱんぱんに張った俺の肉砲塔の両脇を、きめ細かな幼い唇がぬりゅぬりゅと滑り、柔らかく圧迫。 ぷるぷると揺れる赤黒い先端には、どこか吹っ切れた叢雲が淫らなキスを振らせ、鈴口をれろれろと舌でほじくる。 愛情のこもった、しかし容赦ない三重の刺激に、高まる射精感をおさえられない。 「は、はやくイキなさいよ……! 私たちみたいな駆逐艦相手にこんなに勃起させて、ほんと変態っ……!」 「かまわないよ司令官。顔も服も汚していいんだ。いや、むしろそうしてほしい……!」 「我慢しなくていいからねー? 雷たちで、いっぱいいっぱい、せーえき、びゅーってして!」 いつもは見せない甘えたトーンや、年齢にそぐわない雌の情欲を交えた声が、どろどろに混ざって俺の脳を溶かす。 グツグツ煮えたぎり肉筒を上がってくる欲望の塊にあわせて、雷と響の唇が優しく根元から先端へとしごきあげ、 同時に叢雲の舌が射精口から栓を外すようにぬぽっと抜かれ……絶妙のコンビネーションの前に、ついに砲門が決壊した。 ―――びゅるぅっっっ! びっ、ぶぴっっっ!! 「きゃ、や、ちょっ……!? い、イクならイクって、っぷあっ!?」 「わ、わわっ。すっごい出てる、射精(だ)されてる!」 勢い良く射出された白い砲弾は、叢雲のきりりと結ばれた眉に、透き通った髪の毛に、形のいい頬や額に、次々と着弾。 「司令官、こっちにも……!」 びゅるるるうぅっ、びゅるっっ! どぷぷぅっ、べちょおぉっっ……! そのまま左右に照準を動かし、響のクールな、しかし上気した顔といわず軍帽といわず第二斉射を浴びせかける。 べちょん、とその白い頬を無遠慮に汚れた肉棒が叩いても、どこかうっとりした表情でそれを受け入れているのが艶めかしい。 「すごいすごい、元気いっぱいだね司令官っ……うわ、服どっろどろだよぉ」 胸元のトレードマーク、錨のエンブレムめがけびゅるびゅると放たれるザーメンを、雷がびっくりした顔で見つめてくる。 駆逐艦たちのキラキラした視線に見られながら射精する瞬間は、 大切なもの、純粋なものを汚すという背徳感もあいまって、何度経験しても実際たまらない。 自然と量も濃さもとんでもないことになってしまう。そしてやはり、思いっきり服ごと汚すのが俺のポリシーだ。 「Супер(スパー:凄い)……! 今日は……いちだんと濃い、ね」 なおも衰えない勢いの噴射は、駆逐艦たちのセーラー服に白濁した染みと精液だまりをいくつも作っていく。 左右にぶれながら響と雷を何度も汚したため、当然真ん中にいる叢雲には、ひとりだけ倍近い精液が放たれたことになる。 「な、何考えてるのよぉっ……め、眼が、開けられないじゃないっ……えううっ」 こってりと、何重にも精液でマーキングされた叢雲の顔を、どこか羨ましそうに眺める雷と響。 「毎日みんなに出してるのに、絶倫だなあ、司令官は」 「お疲れ様っ! あっ、お掃除してあげるわね! ……ん~、ちゅうぅっ!」 ぷるぷるした精液をあちこちに付着させた顔のまま、ちゅるちゅると管に残ったぶんまで吸い出す雷は本当にいい子だ。 響が、そして片眼を閉じたままの叢雲がそれに続き、ほかほかと湯気をたてる半勃ちの肉砲塔に濡れた舌がむらがる。 後始末が終わったら、まずは風呂に入って皆をきれいにしないとな。 続きはその後でたっぷりと……いや、湯船の中でイチャつくのも捨てがたい―――。 まったく、駆逐艦は最高だぜ! =========
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艦娘たちの母港の空。 今日も早朝から快晴だった。 港湾のあちこちで金属がぶつかり合う甲高い音が響いている。 工廠では新造艦が建造され、ドックには修理中の艦娘の艤装が痛んだ箇所を切ったり貼ったりくっ付けたり。 それはそれは賑やかに音をたてていた。 沖合では数隻の駆逐艦が波を蹴立てて公試運転しており、防波堤では大勢の艦娘たちが歓声をあげている。 「雪風~」 「頑張れ響ちゃん! 追いつけぇ~」 白波を蹴立てて、細長い艦影が水平線に沿うように伸びていく。 「誰も私には追いつけないよ~」 「うら~」 深海棲艦が出現して約半年が経とうとしていた。 戦時中という非常時に置かれながらも、彼と彼女たちは精一杯の日常を過ごしている。 彼:若くして聯合艦隊の指揮を任された将校は、艦娘から提督(司令官)と呼ばれ親しまれていた。 そして彼も、深海棲艦隊と戦う彼女たち艦娘を時には妹、時には恋人のように愛でながら戦いを重ねていった。 彼の的確な指示と彼女たちの献身的な奮闘により、戦いは連戦連勝。 彼は平和に向かって一歩また一歩と進んでいることを実感しつつ、今日も戦場に彼女たちを送り込む。 ただ、すこしずつ、すこしずつ……心が緩んでいる事には気付かずに―――― 〇七三〇 母港待機中の艦娘たちは司令部横のグラウンドに集められ、作戦や任務が発令された。 まるで女学校の朝礼のように整然と並ぶ艦娘たち。 四角い壇上に彼と秘書の愛宕があがり、その下は並列して第一戦艦隊旗艦長門、第一航空戦隊旗艦赤城以下、各隊旗艦の艦娘が先生よろしく並んでいた。 彼は本日の作戦司令を次々に読み上げていき、愛宕が参加艦娘を発表していく。 「続いて…うん、指令部発令36号命令を伝える。『艦隊を編成し南方海域に哨戒用の水上機基地を建設せよ!』」 参加艦娘が発表される。 「旗艦は、電ちゃ~ん。以下ぁ、千歳~、千代田~、那珂ちゃんでぇす」 「以上4艦は直ちに補給を済ませ、南方海域に向かい出撃すること。出撃予定時刻〇九〇〇、帰還予定時刻一八〇〇、以上。これで本日の発令を終わる。みんな、頑張ってくれ」 その言葉が終わった時、びっくりするくらいの大声を出した娘がいた。 第一戦闘艦部隊旗艦、長門だった。 「提督っ! 南方海域は敵の拠点が近いうえに、偵察もまだ不十分だ。水上機母艦と小型艦だけでは危険すぎる。6隻編成で行くべきだと意見具申する」 彼女が提督に苦言を放つのはそうめずらしいことではない。 しかしいつにない語気の粗さに艦娘たちはざわめきだした。 「そんなこと、言われなくてもわかってるんだよ。でも燃料は節約しなければいけないし資材も不足気味なんだ。それに費用だってばかにならないしさ」 赤城の頭が少し横を向いた。 「上に立つ者として部下の安全よりも金の方が大切だとでも言うつもりかっ!」 「な~に、平気だよ。作戦出撃じゃないんだ。遠征だよ、遠征。失敗しても次があるさ」 「貴様の目は節穴か? 遠征隊が補給しているのは燃料だけじゃないんだぞ。弾薬が減っているのは射的をしているからだとでも思っているのか!」 「なんだい、いやに荒れてるね? そうか、大和を編成したことを怒ってるんだな。彼女を隠してたのは謝るよ、でも僕の立場も理解して……」 「そ、その様なこと……心の一辺にも止めておらぬっ! もうよいっ! 言うだけ無駄なようだ…… だが、ここまでの非礼の数々は詫びなければならない。罰はどのようなものでも受けよう」 長門はそう言い放つと深々と頭を下げたまま動かなくなった。 「もっと気楽にいこうよ長門」 壇上の提督はやれやれという仕草で溜息をつくと、横に居る愛宕に耳打ちしてから壇を降りて司令室のある建物に入っていった。 壇上に残った愛宕は張りつめている微妙な空気を全く無視するようにニコニコ笑いながら、パチンと手を打った。 「は~い! みなさ~ん、本日の発令は以上で~す。各自出撃準備及び持ち場へもどってねぇ」 頭を下げたままの長門はピクとも動いていない。 「長門ちゃ~ん、提督の言葉を伝えるわねぇ。えっとぉ、お咎めなしよ~。しばらく作戦予定も無いしぃ、ゆっくり休むようにって」 愛宕の言葉を聞き終えると、長門はゆっくりと頭をあげ、ギュッと唇を噛んだまま自室の方へと歩いていった。 回りでその様子を見ていた艦娘たちは、いつになく厳しい表情の長門の後ろ姿をみながらヒソヒソと囁き合いながら解散した。 港の工廠では遠征隊を命じられた千歳と千代田が急遽装備改修にとりかかっていた。 既に軽空母となっていた彼女たちから飛行甲板が取り外され、代わりに4本の大型カタパルトが取り付けられていく。 「はあ~、せっかく改二目前だったのに、今更水上機母艦に戻るなんて……何考えて作戦立ててるのよ司令部は!」 「千歳姉がぼやくのってめずらしいわね。いいじゃない、私カタパルト火薬の匂い結構好きよ」 「それにしても、長門さんの剣幕すごかったわね」 「心配性なのよね。私達水母に戻ってもレベル高いんだから、連戦連勝、遠征だって大成功させてみせるわ!」 やがてふたりの艤装は終わり、既に港外で待機している那珂と電に合流した。 「電ちゃん、お待たせ。旗艦指揮よろしくね」 「はい、なのです」 4隻の中では一番小柄で、振る舞いも子供っぽい駆逐艦電であるが、実は艦隊きっての歴戦の持ち主であった。 提督との付き合いも艦娘の中では一番長く、長門や愛宕が配属された今も時折秘書を任されることも多い。 密かに艦娘たちの信頼も厚い。 まあ、彼女の衝突癖はみんなの恐怖の的でもあるのだが―― 電を先頭に千歳、千代田が続き、殿は那珂が務める単縦陣。 整列した艦隊に号令を下す前、電は当たりをキョロキョロと見回した。 そして、視線を港湾の先端に突き出している突堤に目をやった。 そこにはまるで丸い腰かけのような形の係船柱があった。 傍に人影はない。 電は寂しそうな眼になった。 だが、次の瞬間には艦隊に向かって高らかに号令をかける。 「では、行くのです」 「了解っ!」 煙突から黒煙を出しながら、4隻は電を先頭に出航していった。 「最近、提督ってば見送りに来てくれなくなったわね」 「艦隊のアイドルの出撃なんだから紙テープ投げてくれてもいいのに~」 「うわ、昭和のアイドルかよ!」 おしゃべりしている仲間の声を聞きながら、電は静かに進んでいった。 司令室では提督が何枚もの書類に目を通し、いくつもの印を押していた。 長門の事が引っ掛かり、いつもに比べてその表情は少し硬い。 彼の前でコトリと音がした。 愛宕がお茶の入った湯呑を彼の机に置いていた。 若い将校は彼女が真横に近付いた事すら気付かなかったことに少し身勝手な苛立ちを覚えた。 「はい、コーヒーがはいりましたよ~ 熱いから気をつけてねぇ」 「ああ、サンキュー愛宕。あちちっ」 全くの上の空である。 「あらあら…しょうがないですね。このハンカチお気に入りだったんですよ」 愛宕は自分のピンクのハンカチで濡れた机を拭くとそのままゴミ箱に入れた。 「気付いてましたか? 長門さん少し泣いてたんですよぉ」 「はははっ、それは見間違いだよ。長門があれくらいで泣くわけないじゃないか」 愛宕は2杯目のコーヒーを注ぎながら話題を変えた。 「電ちゃんたちのお見送り出来なくて残念でしたね」 「ああ、司令部も書類が多すぎるんだよな。最前線のことを少しは理解して欲しいよね」 「でもぉ、窓から手を振るくらいはできなんじゃないかしらぁ?」 少し意地の悪い言い方だったかなと愛宕が思った通り、若い将校は不機嫌さを隠すことなくコーヒーカップを机に叩き置いた。 「君まで… 煩いなぁ…… わるいけどさ、しばらく一人にしてくれないか? 近いうちにMF作戦が発令される。この作戦が成功すれば僕たちに希望が…」 「はいはーい、提督そこまでで~す。それ以上は口にしちゃいけませ~ん。わたしぃ敵のスパイかもしれませんよぉ」 「下らん事言ってる暇があったら、この海域の詳細な状況を調べて来てくれ?」 提督から渡された大きな海図をクルクルと丸め、愛宕は資料室へと向かって行った。 彼女は部屋を出る直前、扉の隙間から頭を出してこう言った。 「提督、慢心はダメダメですよぉ。慢心はぁ」 ぱたっと締まったドアを見ながら、彼は小さく呟いくのだった。 「慢心してるだって? この僕が? ははは、そんなもの あるはずがない。 僕はいつだって艦隊のことを、艦娘のことを最優先で考えている。だからこれまで大敗することなくこれたんじゃないか! これからだって、僕は彼女たちを失うことなく戦いを終わらせてみせる……さ。 くそっ……長門といい愛宕といい……僕の苦労もしらないで…… 腹が立ったら…眠く…… どれくらい時間が経ったのだろうか。 気がつくと椅子に深くもたれて眠りこんでいた。 窓から夕焼けの赤い光が差し込んでいる。 壁の時計はもうすぐ6時を指そうとしていた。 「う~ん、丸一日寝てたのか」 机の上には愛宕に渡した海図が置かれていて、所々に小さな文字がびっしりと書かれている 軽く目を通しただけだが、よく調べられていることはわかった。 「サンキュー愛宕。それにしても部屋に来たのなら起こしてくれればいいのに」 上司として椅子にもたれながら寝ている姿を見られたと思うと少し照れくさい。 と、今が電たちの寄港予定時間であることを思い出した。 「そうだ、久しぶりに突堤で迎えてやろう。僕が手を振ると、あいつ照れるのが可愛いんだよな」 3階にある司令室を出て階段を下り、長い廊下を足早にあるいて外に出た。 建物の中は静まり返っており、夕日に照らされる港湾にも人影がない。 「なんだ? 誰もいないのか?」 出撃している艦娘も多いし、各地に遠征に出てもいる。 しかし、それでも数十人は基地内にいるはずである。 工作妖精たちも相当数いるにも関わらず、声一つ聞こえない。 見慣れたはずの建物が、異様な雰囲気に感じられた。 ドクンッ 彼の心臓が高鳴った。 嫌な予感しかしない。 さらに、愛宕が作ってくれた海図には、電たちが向かった海域は危険水域の印が着いていたのを思い出した。 電探妖精の報告に、未確定ではあるがFlagship戦艦タ級の目撃情報があった。 もし出会えば遠征隊ではひとたまりもない。 「まさか…まさか……」 彼は突堤の先端に向かって足早に駆けていった。 「違うよな。それに、既に敵は海域を離れているかもしれないし…。それに、電はすばしっこし、あれで賢いんだぞ。千歳だって千代田も…那珂も……」 言えば言う程不安が増大するばかり。 自分の読みが甘かったのは明白だった。 叶うのであれば時間を巻き戻したい。 だが、そんなこと起きるはずがない。 「ぶはっ、こ、この前の作戦の時は、ぜはっ…第六駆逐隊はル級相手にS勝利したんだぞ!電は…MVPを取って…ぜははぁ」 言い訳しながら必死で走る若い将校は、ようやく港の先端にたどり着いた。 「はあっ…はあ……ぜぇ…」 全速力で走ったにしては冷たい汗が流れた。 息を切らしながらたどり着いたコンクリートの突堤は、真正面の海に沈みかかる夕日に赤く染まっていた。 そこにある係船柱に一人の女の子が座って夕日を眺めていた。 その後ろ姿はまぎれも無く―― 「電……」 「あ、提督。ただいま…なのです」 座りながらクルッと振り返った少女は、少し俯き加減で恥ずかしそうな声をだした。 「は…ははは……はああ~」 男は全身から力が抜けたかのようにその場にへたり込む。 「お帰り、やっぱり電は時間に正確だね」 「これ、おみやげなのです。海の底で拾ったのです」 少女は小さな尖った巻貝を彼に渡した。 「海の底? 浮いてたんだろ。でも綺麗な巻貝だな、ありがとう電」 電は照れると言うより、まるで顔を見られたくないかのように下を向いた。 大きな夕日が沈もうとしてた。 彼は電の傍に行き、その小柄な身体をひょいと持ち上げると係船柱に自分が座って膝の上に電を座らせた。 戦争が始まった頃、戦いの合間にここで夕日を見ながら早く平和になればいいねと語り合ったのを思い出していた。 「こうやって夕日を見るの…久しぶりだね。嬉しい?」 少女はコクリと頷いた。 彼は電の小さな頭を撫でてあげながら、しみじみと反省の言葉を出していく。 「今日さ、長門に怒られただろう。さっきまではアイツの事煩いって思ってたんだけど、僕が間違ってた。慢心してた。反省してる。あとで謝りにいくよ。それと、愛宕にも…」 若い将校は、今の幸運をしみじみと感じるのだった。 一歩間違えれば、この大切なものを失うところだったのだ。 「さあ、帰ろう電。千歳とかは先に入港してるんだろ?」 少女は答えなかった。 「電?」 少女は彼の問いかけには応えず、ただ、そっと彼の右手を掴んで、自分の胸の上に当てるようにした。 水兵服の上から、彼の手のひらに少女の膨らみの感触が伝わる。 決して大きくはないが、その柔らかさとその先にある小さな蕾は少女が女であることを証明していた。 「い……いいい、いなづま? あ、あのさ……」 艦隊でも一番の恥ずかしがり屋が、男の手を自分の胸に当ててゆっくりと上下に動かすと、小さな乳房が波打つように揺れた。 男は何も言えず、ただ息を荒くしながらされるがままにしていたが、やがて電はその手を止めた。 そして首を上に向けると、いつものおっかなびっくり眼で彼を見つめた。 頬は赤く染まり、瞳は潤んでいる。 男はその表情はいつもの電と変わりなく思ったのだが、どうしてこのようなことをしたのか聞こうとしたとき―― 「提督……電は……最後に提督に……電を……感じてほしかったのです……」 「え? 何をいってるんだよ?」 少女は彼の膝からひょいと降りて、沈みゆく夕陽を背にして敬礼をした。 「報告! 第一水雷戦隊所属暁型駆逐艦四番艦電、一四五七 南方諸島沖で轟沈……なのです!」 彼は瞬間自分の中で時間が止まったような気がした。 「な、何を言ってるんだよ? ここ…にいるじゃな…い……か」 言葉がだんだん震えていく。 目の前の少女の身体が、薄れていく。 後ろの太陽の輪郭が、何故か少女越しにはっきりと見えていくのだ。 いつも恥ずかしがってばかりで、めったに笑い顔を見せることがな少女が、満面の笑顔を浮かべていた。 だが、その表情も霞のように―― 「提督……電は…提督に大切にされて……幸せだったのです……今度…生まれ時は…もっと平和な世界がいいな……そして…提督と……みんなと…楽し…く……」 そこまで言って、少女の姿は消えた。 突堤には彼がひとりいるだけだった。 「う、うわあああああああああああっ!」 座っていた係船柱から、コンクリートの上に尻から落ちて気がついた。 もう真っ暗で、空には満点の星が出ている。 懐中時計を見ると、もう夜の10時を回っていた。 「ゆ…夢か……」 遠征隊の帰りを待っているうちに、眠ってしまったようだった。 基地は明かりに照らされ、この時間も工廠からの工作音が聞こえてくる。 特に変わった様子のないいつもの光景である。 「は…ははは……」 彼は抜け殻のようになった身体で戻っていった。 だが、遠征隊はまだ戻ってはいなかった。 「提督! 貴様どこをほっつき歩いていたのだ!」 「長門ぉ~、それは後回しにして、早く捜索隊を編成するのよぉ」 長門と愛宕の言葉が彼の頭にガンガンと響いてくる。 彼の頭の中は全く整わない。 愛宕に説明されて彼はようやく状況を理解した。 電たちが帰還予定時刻を過ぎても戻らない為に、川内と天龍を中心に捜索隊を編成しようとしているところだという。 『そんな…… 電、何してるんだよ。早く帰ってきてくれよ』 疲れきった彼は、部下たちがてきぱきと行動する様子を、ただぼおっと見ているだけだった。 電の轟沈が夢だったと安心したのもつかの間、気を休めることができない。 『まさか…正夢ってことはないよな』 そう思った時、彼は自分の右手が何かを握っているのに気がついた。 何か小さくて固い感触。 唾を飲み込みながら手を広げると、それは小さな貝殻だった。 「提督? そんなに震えて…具合が悪いのですか? 提督?」 愛宕の声は全く彼の耳に届かない。 届いたのは天龍の甲高い声だった。 「遠征隊が帰って来たぞっ!」 大勢が港の入口まで駆けよっていった。 歓喜のざわめきが次第に小さくなっていく。 帰還したすべての艦娘の艤装は大破していた。 千歳は全てのカタパルトが?げ落ちていた。 千代田は後甲板まで浸水し、那珂も全ての砲塔が歪みふたりとも意識朦朧となっていた。 そして、電は―――― 彼女の姿はなかった。 帰還したのは3艦だけだった。 千代田と那珂は急遽入渠し、辛うじて意識のある千歳は入渠に首を振った。 場所を司令室に移し、彼と愛宕、長門の3人が千歳からの報告を受けた。 「作戦海域には、Flagship戦艦タ級だけではなく、Elite空母ヌ級2隻を含めた大艦隊が待ち受けていました。 戦闘なんて呼べるものではなく、一方的な蹂躙でした。 巨大な砲弾が雨霰と降り注ぎ、その後には雲霞のごとく敵艦載機が襲いかかって来て……」 彼女の話の途中長門は提督のほうを睨みつけたが、言葉何も言わなかった。 彼にとって今は大声で怒鳴られたほうがどれほど救いになっただろうか。 その顔は既に蒼さという色を通り越していた。 千歳は蘇る悪夢の記憶を解きほぐすように語り続ける。 ―――― ―――― 戦艦の砲弾が降り注ぎ、更に敵艦載機の爆撃と雷撃が艦隊を襲う。 避けるのも限界に近くなっていく。 ―― 千歳お姉! 痛いっ…痛いよ。 ―― 千代田っ、しっかり! ああっ…どうしたらいいの」 逃げまどうしかない艦隊。 一通りの攻撃を終えると、群がっていた敵大編隊は撤退していった。 だが、ホッとする間など無い。 戦艦の砲撃が再開され、巨大な水柱が何本も噴き上がる。 葬送の水墓標。 すぐに艦載機の第二波もやってくるに違いない。 ―― わああああっ! 那珂ちゃん死にたくない。 ―― 千歳姉っ! ―― 泣かないで、みんな…あああああっ ―― 落ち着いて下さい皆さん。ほら、10時の方向にスコールがあるのです。 電の言う通り、それほど離れていない場所に黒雲と分厚い雨のカーテンが見えた。 その中に入ってしまえば、艦載機は追って来れず、戦艦の砲撃もメクラ撃ちになる。 艦隊は必死で方向を転換していくが、そうはさせまいと戦艦の砲弾が降り注いできた。 ―― きゃあああああ! 前にも進めない、後ろには敵。 絶望しかなかった。 ―― みなさん! 勇気を出して前進するのです。 ―― 無理よ。砲弾に当って死んじゃうわ。 ―― 大丈夫なのです。戦艦は、電が止めて見せるのです。 電は手短に勝算を説明した。 幸い機関には損傷がなく、得意の全速力で一撃離脱、魚雷を叩きこむというものだった。 ―― 気でも狂ったの! そんな近くにまで行けるわけないし、魚雷が当ったくらいでは… ―― 電はあの戦艦のことは勉強しているのです。艦首が細くて、そこに魚雷をお見舞いすれば穴があくはずなのです」 千歳も千代田も那珂も、全員が無理だと思った。 でも、それ以外にこの事態を乗り切る術など無かった。 考えている時間も無い。 ―― 電、絶対に沈んじゃだめよ。約束だからね ―― もちろんなのです。 電だって提督の膝の上で、もう一度夕日を眺めたいのです! 千歳が聞いた最後の言葉だった。 その後のことは千歳も知らない。 ただひとつ確実なことは、轟音が響いた後、敵艦隊の追い討ちが止まったことだった。 〇三三八 電は全速力でFlagship戦艦タ級に突っ込んでいった。 読み通り、距離が近すぎて主砲が狙えない。 油断していたのだろう、敵の小型艦も動きを直ぐには変えてはいない。 行けると思った。 「提督、電は本当は魚雷なんて撃ちたくないのです。みんな仲良く…平和に暮らしたいのです……」 彼女のすぐ横で水柱があがった。 「きゃわわわっ」 敵艦載機が数機発進していた。 いかに電が高速とはいえ、艦載機が相手ではいつまでも避けられるものではない。 爆弾が電の後甲板で爆発した。 ―― 機関部炎上、速度落ちます。 電探妖精の報告。 「もうちょっと…なのです……頑張るのです。みんなで絶対に戻るのです。でないと…でないと……提督を悲しませてしまうのです。そんなの…電……嫌なのですっ!」 遂に魚雷の射程に入った。 爆音が響き、電の艦体が激しく揺れる。 ―― 魚雷発射管、被弾! 発射不能! 戦艦の主砲が仰角を上げている。 目標は電でないのは明らかだった。 電は――敵の戦艦を真っ直ぐに見つめた―――― ―――― ―――― その先には―――――― なぜだか、暗い暗い水の中、泡が下からいくつも上っている。 ちいさな貝殻が見えた。 「敵艦隊は転身していきました。でも…… でも…… 私たち探しました…暗くなっても…でも……」 千歳もう何も言えなくなっていた。 ただ、泣きじゃくるばかりだった。 愛宕は千歳を入渠させる為に一緒に部屋を出ていった。 入れ替わる様に、高雄が入って来て長門に数枚の紙を手渡して戻っていった。 長門はその紙に素早く目を通すと、彼に顔をそむけながら手渡した。 「千代田の電探妖精のデータだ。読んで下さい…」 「長門…すまないが、僕を殴ってくれないか?」 それは罪から逃れたいだけの欺瞞、そして夢なら覚めてほしいという懇願。 「貴様を殴って何かが変わるのなら、拳が潰れるまでいくらでも殴ってやる。だが、せんないことだ……」 そう言い残して、彼女も司令室を出ていった。 呆然と立ちすくむ提督は、死人のような瞳で紙に書かれた文字を読んでいく、 〇三四五 Flagship戦艦ル級、艦首炎上確認ス 〇三四八 本艦及び水母千歳、軽巡那珂スコールヘ退避 〇四〇三 敵旗艦戦線離脱 敵機動部隊同 〇五三〇 旗艦電、海上ニ認メズ 追記 敵戦艦の損傷は 魚雷による効果とは認められず。 第六駆逐隊所属 電 除名が妥当と認む。 「ぐううう……うう…」 男の手にする紙がみるみる濡れていき、くしゃくしゃになっていく。 「ごめんよ……ごめんよ……」 言葉など何の意味もない。 たかが遠征―――― 失敗しても又、次があるさ―――― 後悔。 「ごめん…ごめん……ごめんよ……」 彼は握りしめていた貝殻に謝り続けた。 意味がないことと知りながら。 床にへたり込んだ彼は、ゆっくりと手のひらを開いた。 そこに、貝殻は――なかった―――― 「提督っ、提督ってばぁ~」 ゆさゆさと揺さぶっているのは愛宕。 指令室の椅子に座って寝ているところを起こされた。 「徹夜するのもいいですけど、机についたままでは体を壊しますよ~」 夜はすでにあけていた。 朝日が窓からさしている。 「え、遠征隊は! 水上基地建設隊はどうなった!」 「はい~? 提督っ、しっかりしてくださいね。これからその編成を決めるんでしょお。もう時間ないですよ」 日めくりカレンダーは、出撃予定日だった。 「提督、本当にどうしたんですか~ まるでゾンビみたいな顔ですよぉ。あら、右手から血が出てますよ?」 目ざとく見つけた愛宕が彼の手を取った。 「ペン先か何かが刺さったんですね。気を付けてくださいよぉ。あれぇ、ハンカチがないわ? ピンクのお気に入りちゃんどこ~」 窓の外は晴れていた。 彼は椅子にもたれかかり、視線はぼんやり天井をみていた。 なんだか時計の音がやけに耳障りに思えていた。 〇七三〇 艦娘たちは集合して今日の支持を受けていた。 「続いて、指令部発令36号命令を伝える。『艦隊を編成し南方海域に哨戒用の水上機基地を建設せよ!』」 「旗艦はぁ……」 言葉を続けようとした愛宕をさえぎり、提督自らが編成を発表する。 「旗艦、電! 以下、千歳、千代田、那珂、そして一航戦赤城、加賀。 赤城は流星改ガン積み! 加賀は烈風×2・紫電改二の制空隊だ! 彩雲も忘れるな! そうだ、那珂ちゃん、カラオケセットちゃんと積んでるね? 愛をわすれるなよ! さらに命ずる。支援艦隊として第一戦闘艦隊長門以下全艦出撃し遠征隊を側面から援護せよ。 大和! 今回は主砲の全斉射許可する。ガンガン行け! 各艦出撃は〇七三〇 以上」 「むちゃくちゃだああああ!」 「ガチ艦隊じゃねえか! どんな大海戦想定してんだよっ」 「や、夜戦なら私もいきたい……」 「提督!少しは予算のことも考えなよ」 「報告、工作妖精が資材が足りないと言ってます!」 「愛宕! 僕の預金通帳で大至急増資材購入せよっ!」 「らじゃー!」 ドタバタ劇。 ドタバタタ。 やがて遠征隊の準備が整い、電を先頭に艦隊が出撃していく。 「ぱんぱかぱーん!」 愛宕の掛け声が高らかに港に響き渡る。 提督は突堤の先で帽子りながら出航を見送った。 「戦艦大和、推して参ります」 「はわわわわ~」 巨艦の波飛沫をもろに受けた電が、高波に乗りながら浮き輪に必死で捕まっている。 そして、彼に気付くといつもの恥ずかしさ満点の表情で敬礼をした。 「でわ、行ってくるのですっ!」 天気晴朗 なれど波一時高し。 艦娘、今日もことなかれ。
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66 :42 ◆JW9jyZQchc:2014/05/22(木) 07 22 12 ID GxrBdYJY 予告通り投下です。 比叡、金剛、提督。エロなし。2レス。 某スレの比叡時報ネタより。 お前さん、若い女ばかりの職場にいる俺が羨ましいって? そんないいもんじゃねえ、自分で言うのもなんだがここはヤバイ職場だ。 仕事内容もヤバけりゃ上司もヤバい筋、うっかり手出ししたらコンクリ詰めじゃ済まねえ。 そんなところで薄着の若い女を四六時中見る羽目になってみろ? お前さんがホモでないなら拷問だよ。そして俺はホモじゃない。 潮の香りに力仕事を終えた女たちの汗の臭い、それに風呂上がりの石鹸の匂いとくらぁ。 後先考えずに済むならとっくに押し倒しているさ。 金やカオには困ってないだろうって? まあ、そうだな。金や容姿で困っているわけじゃないし仕事を離れりゃ誰を抱こうが勝手だ。 人事権も一任されているから、その気になれば抱きたい女に解雇通知を突きつけながら押し倒せばお咎めはない。 だが手間ひまかけて実戦と訓練で育て上げた部下たちを手放せるかい? 「仕事」の方がダメなら怖い上司から電話がかかってきて俺の首と胴体は泣き別れだ。 つまりどんだけ誘惑が強くてもそんな無茶はできやせんのさ。 同業者には仮採用の子供に唾つけて抱いているロリコンもいるらしいが俺はおっぱい大きいのが好きなんだよ。 こんだけ喋らせたんだ。お前さんには愚痴のひとつも聞いてもらうぜ。 ある日のことだ、当番の部下に夕食のまかないを命じたんだ。まかないは当番の仕事だからね。 その当番はショートカットから覗くうなじが素敵な子で当番を務めるのは初めてだった。 いつもはそいつの姉に当番を任せていたんだが事情があってね。 姉の方は海外帰りで優秀なやつなんだが、いつもストレートに好意をぶつけてくるんで困っていたのさ。 当て付けに当番を命じた妹はちょっと世間知らずな所があるが、カレーくらいは作れるだろうと思ったんだよ。 厨房から漂ういい匂いに期待を膨らませたさ。出来上がりを食べるその時まではね。 19時の時報が鳴って当番のそいつが執務室に入ってきた。 白飯が湯気をあげていて、器に入ったカレーからは実に美味そうな匂いが立ち上がっていた。 一口目にはでっかい牡蠣が入っていてこりゃ贅沢だなと思った。これがお嬢様育ちの感覚ってやつかね。 ニンニクで香りづけされたカレーはよく炒めた玉ねぎの甘みで食べやすく、ニラの食感も気にならない。 ところがその下から出てくる出てくる。 ホタテに豚肉、オクラとチーズにうなぎ、ルーからは山芋をおろしたものの味までする。 おいおいどういうことだよ。どれもこれも精がつく食材ばかりじゃないか。 聞くと彼女が育った上流階級では普段から精をつけるのが普通なんだってさ。 社交ってやつは案外体力を使うもんらしい。 俺も上層部のお偉いさんと飲むと疲れるもんな。 ともあれ彼女に悪意があるわけじゃないとわかって安心したが問題はこれからだ。 俺だって健康な若い男だ。若い女とメシを食ってりゃ衝動に襲われる。 まして若い恋人たちが聖夜に食べるようなスタミナカレーを食ったばかり。 あっという間に血が下に集まって行くのがわかった。 それでどうしたかって? 当番の女にカレーの感想も言えずに執務室から逃げ出したよ。 だってそうだろう。若い女が何も考えてない顔を近づけ、いい声で晩飯の感想を尋ねてくるんだぜ? 相手にその気がないとわかっていても、いやだからこそ理性が持たない。 女も走って追ってくるがこちらも捕まるわけにはいかない。 こんな状況でいつものように腕を抱え込まれて無防備な顔を近づけられたらどうするよ? お前さん、まだわかってねえな。チキンとか言うなよ。 そいつに手を出したら上層部の前に妹思いの姉にバーニン一発ぶち込まれるんだぞ!? 仕事場の廊下を走りに走り、逃げに逃げたが1時間近く走ると流石に息が上がる。 追ってくる方は若い女とは言え力仕事の職場でエース級を務めるような奴だ。 他の部下たちの目もはばからず逃げまわったが次第に当番の声が近づいてくる。 とうとう他に逃げ場がなくなり、宿舎の一角に追い詰められてしまった。 行き止まりの廊下で辺りを見回すと宿舎の扉の一つが少し開かれている。 その隙間から手招きしている白い手になんだか見覚えがあったが俺の頭は混乱していた。 藁にもすがる思いで扉に飛び込んだ。それが運の尽きだったんだがね。 逃げ出してからきっちり2時間後、当番の部下に見つかって怒られたよ。 なんでこんな夜遅くに姉の部屋にいるんだってな。 姉の海外帰りが取りなしてくれたがなかなか当番の部下は収まらない。 寝るまでの1時間、正座させられてさんざん怒鳴られた。 もっともこっちはそれどころじゃなかったよ。だって……ね? 俺はバックルの位置を直しながら明日からどうやって生き延びていくか考えてた。 さ、ここまで聞いたんだ。お前さんには俺の高飛びを手伝ってもらおうか。嫌とは言わせないぜ…… おしまい これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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前回の話 時刻はマルハチマルマル。 鉄や鋼が金槌に鍛えられ押し込まれる、耳をつんざく音が響く。 上から日課とされている開発任務の催促を消化しにやってきたのだが、 それについて自分は起床時から全く思考の一枚も重ねておらず、形式上終わらせる事しか考えていなかった。 と言うのも、艦に必要な装備は一通り揃い、 資料に登録出来ていないものといえば酷く製造が難しい極一部の精密な設計のものだけだからである。 そういったものは製造コストが資源に嵩むので、それなら今あるものでやりくりする方針で行く。 空母を例に挙げれば、普通の彗星やら流星やら烈風だけでも十二分な戦力となり得るのだから、 震電とかいうものを製造してみる気はない、という事だ。 冒頭に話を戻すと、そういった理由で自分は端から大井に適当な砲を作らせて報告書をでっち上げるつもりでいた。 時間もかからずに中型艦以下にはお馴染みの十四サンチ単装砲が一丁仕上がり、 大井も反論する様子は見受けられなかったので本題に入る。 話の内容が内容なので、自然と自分の口調は堅い物になる。 「検討した結果、大井は単装砲を捨て、九三式酸素魚雷を従来の二十発から三十発に換装してもらう。異論は……」 「あの。他の艦も、強くしてあげて?」 あるか、と問おうとしたのだが、大井から帰ってきたのは通論とも異論とも判断しかねる言葉であった。 至極穏やかでふわりとした控え目の笑みを浮かべて傾げる艦首、 そしてわざととしか思えない素っ頓狂な論点のずらし方に、たちまち自分の口調も崩れる。 「……他の艦の事よりも、第一に自分の事を気にしてくれ」 「私はもう充分強くなったからいいんです。それよりも北上さんや木曽ちゃんにあげた方がいいと思うんですよ」 確かにそういう選択肢もある。 しかし、兵装実験も兼ねて最先端を走るこの装備こそ、魚雷の扱いの練度が一番成熟した大井に託したいのだ。 それともう一つ。 身も蓋もない事なので口には出さないが、世のあらゆるところで特化型はバランス型よりも有利になるのだぞ。 大井は富士山にも届く程どんどん尖らせて行きたい。 「……そういうことなら、喜んで頂きます」 意外と素直に受け入れた大井は、早速装備換装の為奥のカーテンに向かい手をかけ、何事か振り向く。 綺麗な長髪を予兆なく さら、と揺らして振り向く大井の顔は、 その笑みに楽しげな成分がよく見ないと伺えない程度に盛られていて……。 「私の着替え、覗きます?」 阿呆な事を言ってないでさっさと済ませてきなさい。 両腕両足の装備を変えるだけだろうが。 「っふふ」 数分後、大井は戻ってきた。 魚雷は九三式酸素魚雷のままに、発射管を零式五連装発射管へと姿を変え、 それを両足に四基、両腕に二基搭載している。 大井は初めての五連装発射管が新鮮なようで、それらを手で撫でながら呟く。 「この魚雷火力、うまく使って欲しいなぁ……」 これらの発射管は開発したものではなく、 この鎮守府の戦果功績が認められて試験運用の名目で上から支給された物だ。 試験運用と言っても返す義務はないそうなので気楽なものだ。日々の報告書の作成は一枚増えるだろうが……。 自分もこの目で見るのは初めてで、大井が腕の発射管を眺めている傍で跪き、足の発射管を眺めて弄くり回す。 さわさわ。さわさわ。すりすりすりすり……。 「提督も気になります? 更にいっぱい付きましたよね、って……。 触りすぎなので提督に三十発、撃っていいですか」 「提督が艤装の検査をするのがそんなに悪いか」 「途中から艤装じゃなくて足触ってますよね」 「ついでに船体も磨こうと思ってな。お前はいつでも綺麗でいて欲しいからな」 「いい加減にしてくれないと私、本気にしちゃいますよお?」 状況によってはこの科白は昂りの材料になりそうだが、声色が威圧感を含んでいたので仕方なく離れる。 優しい目尻を貼り付けた笑みはそのままに、 眼力を強めるという器用な顔が出来る大井はいつまで経っても照れ屋だ。全く。 「朝からこんなところで盛らないで下さいね」 その言葉の裏を突こうものなら、局部に魚雷が飛んで来かねない事も考えて自粛しておく。 スキンシップを拒まれた自分は、単細胞生物の如く深く考えずにこのような科白をのたまった。 「足触っただけなのに、水臭いね」 …………………… ………… …… 「…………」 この人のセクハラを止めながらも、長い月日の付き添いの下、 昔の私が知ったら怒り狂いそうな気持ちを私は秘めていた。 私からあっさり離れながらも恥も捨てて愚直に不満を漏らす提督に、私は距離を再び縮めようと一歩前に出る。 「もう少しだけなら触っ……」 「提督!」 提督以外の者には聞こえないように発した小さな声は、大きな声に叩き伏せられた。 提督の向こうにいた声の主は、大本営からの任務通達を担当する軽巡大淀さんだった。 大淀さんが探しに来るという事は、何か緊急の通達があったに違いない。 だから、提督が即座にそちらへ意識の全てを向けるのは何ら間違っていない。 間違っていないのだが、腑に落ちない。 「大淀? どうした」 せっかく縮めた距離も、また開いてしまう。 よく考えれば私は秘書なのだから、提督と同じように私も大淀さんの知らせを聞きに行けばいい筈なのだが、 提督との戯れを妨害された挙句に一人取り残されたような処遇で、その場に立ち尽くしてしまった。 「……ああ。……ああ。分かった、ありがとう」 最後にいくつかの書類を渡してから、大淀さんは凛とした面持ちを崩さぬままその場を立ち去った。 戻ってきた提督も、気を引き締めた面持ちに切り替わっていた。 「急で悪いが、用事が出来たから留守番を頼む。午前の演習は休みになるそうだ」 「……分かりました」 何か良くない事でも起きたのかと思ったら、そんな事はなかった。 でも、午前の演習がお休みになるって事は、用事は午後までかかるという事よね。 演習が出来ない。せっかくの五連装魚雷が試せない。 残念だなあ……。 …………。 ぎゅ。 「え……?」 暫く思考が止まり、次に我に返った時には強い力で暖かいものに包まれていた。 目前にあるのは、提督の肩? 抱き締められている? 「ほら、出かけるからって悲しそうな顔しない」 「……し、してませんよ。自意識過剰も程々にしてください」 口では微動だにしない姿勢を演じつつも、 本当のところは間近で感じるこの人の匂いだとか熱だとか、 私の腕と肩をいっぺんに包むこの人の腕、押さえるように腰に添えられた手の感触が気になって仕方がなかった。 「そうか? それにしてはさっき何か言いかけてなかったか」 「提督の空耳ですっ」 「……ふうん」 ここはうるさい工廠なのに。 まして小さい声だったはずなのに。 確かに全く聞こえないような声だったら口に出す意味がないとはいえ、聞こえていたなんて。 あそこで大淀さんが来ていなければ、 多分私は勇気が羞恥心を上回ったままこの人の好きにさせていたかもしれないけど、 あの戯言をこんな形で受け止められてしまっては、時間差も手伝って羞恥心が勝る。 私は何を言っているんだろう、という自己嫌悪に滅多刺しにされるのだ。 そんな私の心情などお構いなしに、この人はいっそう抱擁の力を強める。 「勝手にするけどね。何せ昼過ぎまで帰って来られないんだから、私も補給しておかないと」 「はぅ……」 「あー、暖かい……」 急な用事ではないんですか。 こんな事をしている場合ですか。 秘書として言える事は沢山あるのに、 締まらなくなった蛇口のようにそんな事をのたまうこの人の離す気配のない抱擁に、私は……。 「……熱くなってきてないか、お前」 「っ!」 この人の声色から、口の端が天に向かっているのは容易に想像が付くのだけど、 とうに突っぱねる選択肢を失っていた私は何も出来なかった。 昼過ぎまで、出撃も演習もなく、この温もりもないのだから。 それからは提督の気の済むまでそうしていた。 それから惜しむ間なく別れて、自室に戻ろうとして私は不意にある事を思いついた。 ――そうだわ。昼過ぎまで帰って来られないって言ってたんだから、お弁当でも―― 食事なんかしている時間はないかもしれない。 手に余らせて迷惑がられるかもしれないけど、知った事か。 思いついてしまった以上、ここで何もしないという選択はない。 実のところ土曜日のカレー以外は殆ど料理はしていないけど、 カレーが作れるなら不味い物は出来ないはずだ。 そう気を持って、朝食時を過ぎた厨房へ向かう。 私の運の悪さが災いしたのか、単に食材の仕入れ作業にでも行ってしまったのか、 頼みの間宮さんは不在だった。 勝手ながら厨房を借り、何とか残っていた少ない食材を駆使して、一つの包みの開発に成功する。 成功……したのかしら。 時間もないし簡単なもので仕上げたけど。 兎に角、提督の身仕度が終わっていないかが心配だ。 包みを抱えて小走りで玄関口へ向かうと、あと少しのところで大淀さんを見つける。 「はぁ、大淀さん! 提督もう行っちゃいました!?」 「ええ、今し方出ましたけど」 何てこと。 ということは、大淀さんは提督を見送ったところか。 一方の大淀さんは、私の手に持っているもので察したようで、どう反応すべきか困ったように苦笑する。 「あら、残念でしたね……」 「作戦が悪かったわ……」 あるいは私の運が悪かったか。 机に突っ伏して腕を枕にしてそう嘆いても、提督の手元にこの包みは渡らない。 自動車だから、空母に頼み込んだところで航空機の燃料が持たないだろう。 そうして行き場を失ったこの包みを持ち、私は執務室で一人退屈の渦中に巻き込まれる事となっていた。 こういう時って、駆逐艦は他の艦と違って大人数で集まって好きに動くのよね。 でも騒がしいのはどちらかといえば好きじゃない私は、それを見習う気にはならない。 それは私だけでなく、北上さんや木曽ちゃんもまた同じ。 北上さん、大丈夫かな……って、そういえば早い昼寝と洒落込んだんだった。 普段の招集頻度は高い方だから、こういう時があれば身を休めようとするのは己の為になるだろう。 ああ、炬燵に突っ伏してぼんやりつらつらとそんな事を考えているうちに、私も睡魔に襲われていく。 姿勢が悪かろうと、こうなると今更自室まで体を動かすのは億劫だし……。 大人しめな色合いの包みを穴が空くほどじっと睨んでいたが、私の意識は段々と低下していった。 …………………… ………… …… 不定期に開かれる軍の会議にやっと終わりの鐘が鳴り響いた時、時計の時針は無慈悲にも正午を通り過ぎていた。 議題の一つ一つの話が回りくどいし長ったらしい。 おかげで尻が痛い。 正午は現代日本人にとって二度目の食事時だというのに、 鎮守府の門を通った時、時計の時針はその重要性を吐き捨てるように大幅に過ぎ去っていた。 庁舎に入り、まず持って行くように言われた書類を置いてくる為に真っ先に執務室へ向かう。 歩く足を止めず扉を叩きもせずに開けたが、自分はそれを反省する事になる。 「おっと……」 畳の中心に設置した机で大井が突っ伏していたからだ。 自分がいない執務室にまさかいるとは思わず、反射的に姿勢を正す。 それから自分は音を立てないよう細心の注意を払って扉を閉め、畳に上がり込んだ。 手持ちの書類を机にそっと置き、大井の傍に置かれている包みに意識を向ける。 これは何だろうか。 外からの手触りからこれは弁当箱だと察した。 ではこれは誰のだろう。 こんなものを執務室に持ってくる時点で候補は大幅に絞れるが、確信もない。 食事なら食堂を使えばいいのだから、大井が弁当を持つ意味が分からない。 まずこれを作ったのが大井という確信もないから、大井が寝ている手前誰に聞けばいいかも分からない。 自分が出かける直前、自分は大井から何も言われていないのだ。 どうしたものかと何気無く大井の寝顔を見やった。 「すー……、すー……」 朝の工廠で見せた、あの悲しむような寂しがるような顔はなかった。 大井は絶対否定するだろうが、 自分が出かけると言った時に見せた口角を落とした顔、気落ちした様子を表す声の抑揚のなさは、 落ち込んでいるという事が手に取るように分かりやすいものだった。 それだけにこの安らかな寝顔を見ると安堵するものだ。 その安眠を邪魔しないよう、普段よりも慎重に頭を撫でる。 「ていとくぅ……、んふふー……」 するとどうだろう。 大井は目を瞑ったまま突然口の幅を大きく広げ、大井らしからぬ間抜けな声を漏らしたではないか。 寝息がそのまま続いているから、起きてはいまい。 「おい、しい……ですか……、すー……」 夢でも見ているのか。 寝言で大体察した。 そこの弁当は手をつけてしまっても問題なかろう。 大井なりに男が持つのに合う物を選んだ気遣いが伝わってくる包みを解いてゆく。 箱を露わにし、黒塗りの箸を手に取った。 思えば、大井にさせている料理の殆どは土曜日のカレーであった。 なので大井はカレーに関しては高い練度を発揮出来るが、カレー以外ではそうはいかない。 あまり余計な負担をかけないようにと思っていたが、これはこれであまり良くないのでは、と思ってしまった。 カレーは毎週少しずつ出来が良くなっていったが、変化したのはカレーだけだったようだ。 大井の作ったであろう弁当は、不味い訳ではないが、とても美味しい、とも言えないものだったのだ。 カレー以外は殆ど演習させていないから、恐らく下ごしらえだとか、調味料だとか、火の通し方をまだよく知らない。 レパートリーが不足しているのだ。 これはいけない。 自分の為に出してもらえる飯が美味いに越した事はないのだ。 そうだ。それなら演習をしよう。 興味があって人並みに出来るくらいまで勉強した自分が少し口出ししようかと、 持ち帰ってきた書類を仕分け、少しでも時間の許す限り執務を進めながら考えていた。 勿論大井の寝息を聞きながら。 「んっ、んんん~……!」 筆を置き背を伸ばす。 もうヒトヨンマルマルだ。 午後に演習があるため、あまりのんびりしてはいられない。 「大井、起きろ」 呼びかけて肩を揺する。 大井が瞼をゆっくりと半分開いた。 起動し切っておらずという具合に、顔を上げるにも時間をかける。 「あ……、ていとく……」 目を覚ますにはまだ時間がかかりそうだが、自分は構わず用件を口にする。 「さて、時間もあまりないから、少し私と演習しようか」 「……分かりました」 本当に分かっているのか。 顔でも洗わせに洗面所へ向かわせた方がいいだろうか。 とか考えている間に、何やら大井は行動を見せる。 一体全体どういう理屈か、大井はこちらへ四つん這いで近付き、私の首に両腕を巻き付けてきた。 突然の事に自分は後ろに倒れかけたが、間一髪両手を畳に付き事なきを得る。 しかしこれは同時に、抵抗する手段を失っていた事に自分は気づけないでいた。 そして。 「んんっ!?」 なんなんだ。 何故自分は大井に唇を奪われ、好き勝手に弄られているのだ。 「ちゅ、ちゅぱ、……んん~、んぅんぅ、ちゅる……ぅ」 しかも舌を差し入れ、私の口を開けさせようと歯茎を舐め回し、歯を突つく。 混乱した自分は素直に口を開いてから後悔した。 阿呆か、自分は。 頭の中で反省文を原稿用紙に長々と書かせる暇がある訳なく、 立てこもり犯のようにいとも簡単に舌を同じものに捕まえられてしまう。 「んっ、はむ、ちゅく、んぁ、ちゅる、ふぅ……、えへへー……」 大井らしからぬ間抜けな声を漏らす辺り、まだ寝呆けているに違いない。 そんな調子の大井相手に情けない事だが、碌に抵抗もできずに気の済むまでされてしまった。 こんな事をする意図があったつもりは毛頭ないので、さっさと息を整えて止めにかかる。 大井は言っていた。朝から盛るなと。 どっちが。 「はぁ、はぁ。おい、目を覚ませっ」 口を離した時が隙と見て、倒され気味だった体勢を直す。 畳に付いていた両手を大井の肩に置いて揺らすという少々強引な手を使う。 「……ぁ、あら? 提督、帰っていたんですね」 やっと目を覚ましてくれたらしい。 これで妙な展開は静まると安堵したが、その油断が自分の落ち度だったのかもしれない。 「提督、どうして口の周りをべとべとにしてるんですか。汚いので早く拭いてくださ……」 「お前の所為だ馬鹿」 「……え? あれ、だって、提督、夜戦の演習って……」 「……お前は白昼から何の夢を見ていたんだ」 「……夢?」 大井のその呟きを最後に、見つめ合う事数秒。 きょとんと垢抜けた顔はぼっと赤くなり、困ったように目尻と口角が下がる。 大井が目を下に逸らす。 何やら口を動かしているようだが、よく聞こえない。 大丈夫か、と問おうとするその直前。 「提督の馬鹿ーっ!!」 バチコーンッ!! 「ぐふっ、大井……、私が何をした……」 Oh, ジーザス。 艤装を付けていない艦娘の底力を渾身の平手打ちで表現された自分は、盛大に体を壁に叩きつけられる。 理不尽さとデジャヴと、大井の柔らかかった唇の感触を走馬燈のように思い出しながら、意識を失ってしまった。 …………………… ………… …… その晩。 床に就いた自分は眠るまでに多少の時間が必要そうなので、 駆逐艦イ級の数を数えるのに必死でいた。 リラックスしないと眠りには就けないのに必死とは、寝る気あるのかと突っ込まれても反論一つできない。 そう自嘲していると。 もぞもぞ……。 「!」 「夜戦……、しないんですか?」 ジーザスは言っている。 ここで引くべきではないと。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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前回の話 「――督、提督」 「はっ……」 緩く肩を揺すられて、自分は慌てて目を覚ました。 脳が気だるい中、ぼやけた視界を指で擦ったり、目頭を押さえて何とか現実に回帰する。 少し責めるような顔が姿が、炬燵右側にあった。 「しっかりしてください。まだお昼過ぎです」 「すまん」 大井の言う通り"まだ"なんだな。 さっさと夜が来ないものか。 「このまま夜になっても、執務は終わらないの、分かってますか?」 分かっている。 それと、ペン先を人の顔に差し向けるのは危ないからやめなさい。 昼に裕福な食事をすると、食欲は満たされるが、代わりに睡眠欲を掻き立てられるのは、何とも解せない事だ。 加えて、朝の目覚めがすっきりしない程度に普段より睡眠時間を削った今日は、中々身が入らなくて困りものである。 昨日自分の膝で寝た赤城は結局日付が変わる前に起き、私には礼を、大井には畏まって謝罪して自分の寝室に戻って行った。 その後残りの執務に追われた結果がこれだ。 しかし自分で言い出した事なので、この事で赤城を恨む気はない。 幾つかの書類に目を通し、赤城の、間宮券配布頻度向上願いの旨が書かれた申請書に却下の印と理由を記入、 する途中でまたも自分の意識は落ちる。 「提督。起きないと二十発、撃ちますよ」 「はっ……」 気がつけば、赤城の申請書の下辺りを、意味の分からない線が無秩序に走っていた。 手が自分の制御を離れて、文字の尻辺りから勝手に動いたらしい。 「ああもう、何やってるんですか。……」 その申請書を取り上げ、急に黙り込んでじっと見つめる大井は、一体何を考えているのだろうか。 欠伸を出す愚かな口を手で覆い隠してから、大井に問う。 何処かおかしな記述でもあったか。 「いえ、赤城さんはやっぱり危ないと思っただけです」 良く分からない科白を残して、その申請書を炬燵の上から畳に移した。 こちらとしても脳があまり働いていないので、それについて突っ込む事なく流す。 大井は筆を置き、畳からこちらに意識を移す。 「もし今のが重要書類だったらどうするんですか」 上に謝るしかないな。 兎に角、こんな適当な返事しかできない程度に、今の自分には仮眠が必要のようなのだ。 仮眠を取らせてくれ。 でないと、この後の書類どもにも酔っ払ったみみずを幾つも作ってしまう。 「もう……仕方ないわね」 すまないが、三十分後に起こしてくれ。 ではな。 「提督? 何処へ行かれるんですか?」 だから仮眠だと……。 「ここで寝ればいいじゃないですか」 そう言って、大井は自分の膝を炬燵から出し、それをぽんぽんと叩く。 大井の膝で寝ろと。 気持ちはありがたいが、大井は執務を続ける気じゃないのか。 「大丈夫です。提督の頭と一緒に膝を炬燵に――」 やっぱり奥で寝る。 「冗談ですよ、もう」 からかうのが面白いと言った具合にくすくすと手で口元を隠す。 なんだかんだで自分も応酬を楽しんでいるのだが、如何せん欠伸は抑えられまい。 噛み殺す事さえせず馬鹿正直に途中まで欠伸を見せ、気がついてはっと手で口を覆う。 嗚呼、もう駄目かもしれん。 「……みっともないというか、間抜けです」 大丈夫、大井くらいにしかこんなに間は抜かないさ。 自分で言っていて何がどう大丈夫なのか分からないが、 呆れた顔でぽつりと零す大井の貶し言葉も潜り抜けるように、のそのそと四つん這いで移動する。 大井の傍まで行き、目前の膝を凝視したところで、今まで行かなかった意識が行く。 スカートが短いので、太腿の半分程が露出している。 これから、この生脚を枕に寝るというのだ。自分は。 「どうしたんです? 寝ていいんですよ」 流石に少しは躊躇うのだが、大井は気にしない、というより、気が向いていないようだった。 膝に顔を埋めていいか、等と聞いてみたらどのような反応を示すか気にならなくもないが、 膝枕をさせてもらえなくなる恐れも考えて、黙ってまず横向きに寝転がる。 「ん……」 重くないか? 「平気です」 肉体が人間より見た目以上に強化されている艦娘には愚問だったか。 人間と違うのは強度だけで、感触は何ら自分と変わらないような、むしろ自分より柔らかいのは本当に不思議だ。 体は横向きのまま、頭を真下の生脚に挟まれた空間に向け、鼻で思い切り深呼吸を……。 すーっ、はー。 「なっ、何やってるんですかっ」 嗚呼、いい匂いだ。 やめろ、頭を引き剥がそうとするな、もう少し嗅いでいたい。 「やめて下さい! は、恥ずかし――」 ぺろ。 「ひゃあ!」 どんっ。 自分の頭は大井の手によって畳に突き落とされた。 い草が原料の畳だから良かったものの、絨毯を敷いただけのフローリングならきっと非常に痛かった。 ひどいじゃないか。こんな事をするなんて。 「私の科白です!」 頭を擦って起き上がると映るは、短いスカートの裾を掴んで精一杯膝を隠そうと顔を少し赤らめる大井の姿。 恥じらう乙女は眼福である。 臍出しは恥じらわない部分は、首を傾げるところだが。 そういえば、艦娘に膝を貸すのは慣れる程経験を積んだが、自分が艦娘に膝を借りるのは初めてかもしれない。 「初めてなんですか?」 初めてだ。 そう返すと、こちらを見下ろす大井は顔をにやにやさせる。 訝しむ顔を作ってもの言わず問うと、大井はこう答える。 「提督の初めて、また貰っちゃいました」 そう言って、自然に私の頭を撫で始める。 艦娘の前で泣きべそを掻いた件等間違ってはいないが、変な言い方はやめなさい。 「何なら、子守唄でも歌ってあげますか?」 それはいいな。 実のところ、今は大井との会話を楽しみたくて眠気を堪えている状況で、目を閉じれば自然と眠れる程なのだが、 大井の子守唄とあらばそれで眠るのも乙なものかもしれない。 頼んでから、目隠しの要領で腕を自分の目に被せると、即座にやんわりと大井によって退かされる。 大井はまだにやにやしている。 「寝顔を見せてください」 流石にそれは少し恥ずかしいものがあるな。 大井に膝を貸した事もあったが、あの時は恥ずかしくなかったのか。 「恥ずかしくないわけじゃないですけど、それ以上に……」 それ以上に、何だ。 そこで言い淀むのは何故だ。 「うふふ、秘密です」 実に楽しそうに、自身の頬に空いている方の手を当てて笑う。 そして、詮索無用という風に、さっさと子守唄を唄おうと息を吸った。 自分も合わせて目を瞑る。 「――――」 まず鼻唄。これで音程をしっかり取ろうという訳か。 流石だ、と言いたいが、この唄は少し怪しい。 これは確か……。 「沖の鴎~と、飛行~機~乗~りはヨ――」 待て待て待て。 「何ですか?」 目を再び開けると、さも邪魔をするなというように口を尖らせる大井の見下ろす顔が。 確かに声自体は優しく細くて音程もしっかり取れているのだが、待って欲しい。 子守唄にダンチョネ節を唄う奴があるか。 眠れる訳が無い。 それを空母の前で歌ってみろ。きっと泣く。 ついでに回天を乗せられた北上も泣く。 「艦の前では唄いませんよ。こんなの」 多くの国民に定着しているし不謹慎だのなんだのは思わんが、今は子守唄を頼む。 「仕方ないですね……」 そしてまた、息を吸う。 「――――」 選曲としては、子守唄、というよりは童謡だった。 ゆっくりとしたテンポで鼻唄と組み合わせて優しく唄い上げるので、 もう少し聴いていたいと思いながらも、たった二曲程度で、 大井に慈しむような眼差しに見守られながら、自分の瞼と意識は落ちた。 …………………… ………… …… 「……寝ちゃいました?」 少し照れ臭くも我慢して、唄い終えてから小声で投げかけた問いかけに、返事はなかった。 普段は距離を置かれるような強面を ――具体的には目付きを鋭くしたり、眉間に皺を浮かばせる等―― 作っているのに、寝ている時の顔と来たら。 本当に子供のよう。 この人は私含む一部の艦には自然な顔付きで接するが、寝顔を見せたのはきっと私だけ。 寝顔を見せて欲しいという願いを受け入れ、無防備な寝顔を抵抗なく見せるのがどれほどの信頼の顕れか。 経験しているからこそ私がよく知っている。 「……困った人」 昨日の赤城さんを始めとする他の艦の寝顔を見ていると言う。やらしい意味ではなく。 ……少し黒い感情が湧く。 昨日の赤城さんのせいでこの人は寝不足を強いられたと言っても過言ではないのに、 この人は赤城さんを責めようとはしなかった。 しかし、ああいう方法で艦娘を癒すのはとても良いことだと思う考えもある。 ……この相反する考えのうち、私はどちらを取れば良いんだろうか。 「……はあ」 しかし、そんな自分探しは今でなくてもできる。 今は流してこの安らぎの時間を楽しもう。 ……この人が赤城さんを責めない理由が少しだけ分かった気がする。 膝枕って、してあげる方にとっても、心地良いことなのね。 「北上さんにも、やってあげようかな……」 北上さんは本来、私の姉だから、私がされる方なのかもしれないけど。 膝枕してあげて、こうして頭を撫でて――。 「髪、硬い……」 北上さんや私と違い、男であるこの人の髪は細くなく、また少し硬い。 髪を潮風に晒しつつ、私達ほどの細かい手入れをしていないからか。 異性にしてあげる膝枕とは、こういった発見もあって面白いものなんだ。 いや、少し違う。 それもあるが、やっぱり、好きな人だから格別なんだろう。 "私に見られながら眠るのは恥ずかしくなかったのか" この人のこの問いの答えを伝えるのは躊躇ってしまったが、 その答えはとても青いものなので、中々伝えるのは難しい。 好きな人に見守られながら眠りたい、なんて。 そんな、スキンシップとも言える膝枕なんて、私からすればこの人や姉妹艦くらいにしかしようと思わない。 そういえば、この人は私以外を私を見る目で見ることはないと言うが、 どういう考えで他の艦に膝を貸してあげているのだろう。 起きたら問い質してみようか。 「……ふふっ、ごめんなさい」 問い質して困ったように縮こまるこの人の姿なんて、想像するのは敵に魚雷を当てるよりも容易いし、 下手すれば、魚雷で敵艦を鎮圧させるより見ていて楽しい。 笑いながら謝っても意味ない、かな。 ああ、この鎮守府にいると。身を委ねるように寝息を立てるこの人といると。 「幸せ、です」 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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849 :名無しの紳士提督:2015/01/26(月) 00 00 33 ID ZzaQX9hY いつもの鎮守府 金剛が熱烈な愛のアタックをして いつもの執務室 それを見た比叡が真っ赤になって空回り いつもの日常 霧島と榛名がフォローに回る いつもの光景 それは唐突な形で破られる 「んっ…! ……はっぁ……提、督…。良かったんですか」「何がだ」 深夜、提督の執務室から漏れ出た明かりに気が付いて部屋に向かった金剛は、それを見てしまった 「お姉さまのことですよぉ…やっとケッコンできる練度になったのに、今夜も比叡と……」 「俺が選んだのは最初からお前だけだ。知ってるだろ?」 「あ、あぁっ……ん、もぉお! 本当ですか?」 みたいな感じで、提督LOVEの金剛とお姉さまLOVEで提督に対抗心を燃やす比叡 という図式だと思っていたら提督と比叡はとっくの昔にそういう関係だった それを金剛が知っちゃって、悔しさと悲しさと怒りと惨めさがない交ぜになった状態で のぞき見して泣きながらオナニーするSS下さい これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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325 名前:幼妻大鯨ちゃん[sage] 投稿日:2015/03/03(火) 21 41 49 ID UK87oIHg 桃の節句なので非エロですが投下します 326 名前:ほ・ろ・よ・い 幼妻大鯨ちゃん[sage] 投稿日:2015/03/03(火) 21 42 48 ID UK87oIHg 今日は3月3日。女の子を祝う楽しい雛祭りの日である。 鎮守府には艦娘と呼ばれるたくさんの女の子がいるため、男の俺にも無関係というわけではない。 だが元々は古代中国の上巳節と呼ばれるもので、それは男女の関係なく行われるものであった。 唐の時代に日本に伝わり上巳の節句となり、様々な過程を経て女の子を祝う雛祭りとなったのだ。 季節の行事には目敏い俺だったが、雛祭りが元々女の子だけのものではなかったと知ったのは最近の事だった。 準備なんてできるはずもなく、今年は雛祭りとして艦娘を祝う為の祭りに終わることになるが 来年はきちんと準備しておいて女の子だけでなくみんなの健康を祝う行事を行いたい。 鎮守府での雛祭りを楽しみに足早に出張から帰ってきた俺は意外な出迎えに驚いた。 「おっ帰りなさぁ~い」 「ッ!?」 その場にいたみんなも驚いていた。大鯨が高いテンションで俺に抱き着き、キスしたからだ。 しかもそのキスはなんだか酒臭い気がした。 「まあ、大鯨ちゃんったらダ・イ・タ・ン、大胆ね」 「んんっ…………っはあっ、のんきに大鯨の声真似してる場合か!?一体どうしたというのだ!?」 やっとのことで口を離した俺は思わず如月に怒鳴り散らすような口調で言ってしまった。 「あ、あの……」 「なんだ?」 電が恐る恐る話しかけてきた。俺はとりあえず落ち着いて聞いた。 「実は…私が大鯨さんに雛祭り用に用意した甘酒がたくさんあまったからそれを飲ませて… そうしたらあんな調子になっちゃって……」 「甘酒で酔うなんて……お酒とっても弱いのかしら!」 「そんなはずないよ。大鯨はあまりお酒には強くないけど、提督と同じくらいには飲めたはず……まさか!?」 「どうやらそのまさかみたいだな」 隼鷹が何かに気付いた時、俺は転がっていた酒瓶を確認した。 「こりゃ甘酒じゃない。白酒だ」 「やっぱりね…」 「司令官、白酒ってな・あ・に・」 いつもの調子…だが必死にいつもの調子でいようとしているような感じだった。 「白酒は甘いから甘酒と混同しやすいけど、アルコールがほぼない甘酒は酒税法上はお酒じゃないけど、 白酒はアルコール度数が9もあってリキュール、つまりれっきとしたお酒なんだよ」 さすがは隼鷹だ。酒が絡んだ時の速さときたら天下一品だろう。 「じゃあ私達子供が雛祭りに白酒と思って飲んでいたのは…」 「酔わなかったのなら甘酒と勘違いしていたのさ」 「つまり白酒は甘酒の一種ではなかったのですか…」 「そういうことだ……電、このことはよく覚えておいて、これからは気をつけるんだ」 「わかりました……」 電がすまなさそうな顔をしながら答えた。 「で、これからどうするのかしら……?」 「そうだな……」 如月が目をやった先にはすっかり出来上がっていた大鯨の姿があった。 「さっきまではこんなんじゃなかったけど提督が帰ってきた途端こうなのよ…」 「このままじゃ雛祭りに参加させられないな…」 「司令官さんは大鯨さんと一緒に休んでいてください。後は私達が……」 「…わかったよ鳥海。君達に任せる」 「そうよ司令官、私達に頼ってもいいんだからね!」 俺は鳥海や雷達に全てを任せ、大鯨と共に司令室に戻った。 「提督ぅ…雛祭りに行かないんですかぁ…」 「大鯨、今の君じゃ何をしてしまうかわからない」 「隼鷹さんだって酔っ払いながら任務に勤めている時があるじゃないですかぁ」 「彼女は酔っ払っていてもそれなりにしっかりしているから大丈夫だけど、 君はここまで酔ったことなんてないからどうなるのかわからないし」 彼女は酒に少しは付き合える程度には強く、いつもこうなる前には飲むのをやめる。 だから彼女は酒を飲んでいても悪酔いすることはなかった。 彼女がこれほどまでに酔っていたのは、甘酒という思い込みのもとでかなりの白酒を飲んでしまったからであろう。 「とにかく俺達の今日の仕事は終わりだ。ゆっくりと休もう」 「そうですかぁ……だったら!」 「おいっ!?」 彼女がいきなり押し倒してきた。 「何を…」 「いいじゃないですか、夫婦なんですし……それに……私……寂しかったんですよ……長い間あなたと会えなくて」 長い間といっても一週間のことである。しかし俺達は結婚してからそれほどの期間離れ離れになったことはなかった。 俺が大鯨を雛祭りの料理の準備の為に鎮守府に残したのが原因だろう。 ……ふと見せた悲しげな顔は艦娘大鯨ではなく一人の女としての顔だった…… 「だからしましょ。久しぶりに、たーっぷりと…ね」 「い、いや…」 俺が彼女を拒む理由なんて全くない。だけど彼女は酔っている。 酔っている人に対してそういった行為に及ぶ事は悪い事だからだ。 彼女なら及んでしまってもわかってくれそうだと思う一方、 どこか頭の中でやっちゃいけないと叫ぶ自分がいた。 「私はいつでも準…でき…………」 そういって彼女は俺に倒れ込んだ。そして聞こえてきたのは安らかな寝息だった。 ふう…一時はどうしようかと思ったがとりあえず一安心か。 俺はこのままだと二人とも風邪をひいてしまうだろうと思い布団を敷き、 彼女を布団に寝かせて俺も一緒の布団に入った。 彼女の顔はとても安心しきった表情だった。さっきまでの寂しげな表情はもうなかった。 俺はそんな彼女の寝顔をいつまでも、彼女の手を握りながら見つめていた。 「き、昨日はその、ご、ごめんなさいっ!」 彼女は起きて早々昨日の事について謝った。 「せっかくお寿司やはまぐりの潮汁を作っておいたのに…… それにあんなはしたない真似をしちゃって……」 はしたない真似なら今までにもなくはなかったが…… もしかしたら酒に呑まれてしまっての事を恥じたのかもしれない。 「いや、過ぎたことはいいんだ。これから気をつけたらいいから」 「ごめんなさい……」 「……この話はここまでだ。さて、今日は何をするか……」 「今日は……あなた確か出張帰りだから休みでしたね」 「君も雛祭りの準備をさせていたから今日は休みだな………… そうだ、せっかくだから料理を教えてくれないかな」 「料理、ですか?」 「俺だってちょっとは料理を作れるようにならないとな。 ラーメンスープとかうどんつゆとか、煮卵風のゆで卵とか…… お世辞には料理とはいえないものばかりだからな、俺ができるのは」 「はいっ!わかりました!一生懸命教えてあげますね」 昨日の失態を挽回しようとするかのように張り切る彼女の姿を見て頼もしさを感じた俺だった。 「そうだ、ついでに一ついいか?」 「なんですか?」 「その……君が酔っ払っている時に…そういったこと、してみても……いいかな……」 「…………はい…………別に構いませんよ……昨日だって、しても文句は言いませんでしたよ……」 彼女は恥ずかしそうに許可してくれた。 そんなことに許可を求める俺もちょっとアレだろうが、 親しき仲にも礼儀あり…ってこの場合に当てはまるかわからないが、 言っておかないと不安になる性格な俺なのであった。 ―続く― これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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前回の話 「北上さん! 明けまして、おめでとうございます! こ、今年もっ……あ、提督? 提督も、今年もどうぞ、よろしくお願い致します」 「よろしく」 「はい」 年が変わっても、大井は少しも変わらなかった。 何を錯覚したか私の体にまとわりつくようにぺたぺた触る。 正気に戻ったらそれもなくなって軍人らしく直立し頭を下げる。 対して自分は極めて簡潔に返したが、 これは脳内で再生されている映像を鑑賞しているところを悟られないようにした結果なのだ。 IFの世界とは人なら誰しもが考えるだろう。 『提督! 明けまして、おめでとうございます! こ、今年もっよろしくお願いします!』 その世界では、大井は私が姿を現すなり突然、顔を病的なまでに綻ばして飛び込んで来るのだ。 そして、体中を隈なく揉んだり触ったりして、早速姫始めしましょぉぉ等と……。 「あの、私の顔に何か付いてます?」 いや何も。 元旦。 早いものだ。 怠惰な暮らしに身を投じているなら未だしも年末年始でさえ休みのないこの暮らしなら殊更で、 少し気を抜けば時の流れに置いていかれそうだと自分は年甲斐もない事を感慨深く思っていた。 人間は意味のない思考に耽る事の出来る唯一の動物だが、それを許さないかのように北風が吹き飛ばした。 自分は直ちに身を縮こませ、上着の中に冷たい空気が入り込むのを阻止しようとする。 「寒そうですね」 背を丸める自分と違って、 大井が定規でも差し入れたようにしゃんと背筋を伸ばし、着せた上着のポケットに手を突っ込む事もしていないのは、 寒さにとんでもなく高い耐性を持つ艦娘であるからだ。 それは重々承知で、上着を着せたのは周囲から浮く事がないようにとか、艦娘である事をカモフラージュする為である。 他人事の調子で此方に流し目を向ける大井の身体が少しだけ羨ましいと思う。 「私は、むしろ寒さを感じてみたいと思いますが」 無い物強請り、だとか、隣のしばふは青い、と言うな。 自身には無い物が隣の人間にあると好奇心をくすぐられるだろう。 然し不便なことの方が多いぞ。 この場合だと、手が言う事を聞かなくなってまともに筆を操れなくなったりするのだ。 だから庁舎に帰っても執務に差し支えないように、こうしてポケットに手を潜ませているのだよ。 「それなら……」 大井は無造作にぶら下げるその手を、私の上着のポケットに入れた。 定温を保つ大井の手の感触に自分の手は驚き、その隙に掴まれてポケットから出されてしまう。 冷たい空気が自分の手を刺すが、自分より一回り小さい大井の手が前方の風から守るように私の手を握った状態を保つ。 「これはどうですか?」 良いか悪いかと問われれば、断然良い。 上着は北風から守ってくれるだけだが、この場合は熱源が熱を供給してくれるのだ。 単純に暖かいし、それだけでなくもっとこう、文字通りでない別の何かも不思議と暖まる。 それは大井も同じようで、暗い夜道にぽつりと立つ電灯の下で無いと分からない程度に頬に朱が入っている。 「これくらいのことでそんな気持ちになれるなら、やっぱり私も寒さは感じてみたいです」 一見人間を見下した皮肉のようだが、大井はこれを本心から言っている。 その願いが叶うとしたらそれは大井が艦娘をやめた時だろうな。 先の御参りではそれをお祈りしてきたのか? 「そんなわけないでしょう。提督は何をお祈りしたんです?」 私か。 提督として無難に安全祈願を願っておいた。 他にもあると言えばあるが、人間が沢山いる以上神様は一人一つまでしか聞いてはくれないだろうしな。 「それは提督の手腕にかかっているのであって、神頼みは意味のないことだと思います」 それもそうだ。手厳しい。 で、大井は何を願ったのだ? 「秘密です」 神のみぞ知るのか。 この言い分だと大井の願い事は私と異なる物なのだろう。 帰ったら神棚にだけでも安全祈願は願っておけよ。 気休めにしかならないだろうが、やって損はない。 「提督は気を休めてばっかりではないですか」 馬鹿を言うな。 やる時は気を引き締めているじゃないか。 先の十一月に行った庁舎の拡張工事だって更なる戦力を……。 「いででででっ!?」 「……他の子がどうしたって?」 大井は突然握っていた私の手を締め上げた。 それは艦娘が持つ潜在能力をあらん限りに出力して、私がそれ以上口を利く事を許さない程の力だ。 防衛本能によって大井の手から離れようと身を捩らせるが、大井は出力を維持したまま容易に付いて来る。 「止めろッ!!」 「はい」 案外素直に従ってくれた。 乾燥した空気に冷やされた手へのダメージは思いの外大きい。 力を抜いてくれた隙に離したその手を擦って 慰める。 艤装がないのになんて力だ。 此奴の思考回路では庁舎を拡張工事する事が不倫にでも直結しているのだろうか。 だとしたらそれは些か短絡的過ぎると思うのだがどうだろう。 全く信用がないな。 私が誰かに色目を使った事でもあったか? ほぼ常に傍にいるお前が、そんなところを見た事があったか? 「あっもう着いちゃいましたね。ちょっと岸壁のところへ行きましょう?」 人の話を聞け。 それと、お前は平気かもしれんが、こっちは寒いんだ。 庁舎に戻らせろ。 「いいですね?」 大井はまたもや私の手を握って痛みを感じない程度に力を込めたので、自分は不戦敗として白旗を上げるしかない。 分かった分かった。だからさっきのはもうやめろ。 温かい缶を握り締め、岸壁のベンチで黄昏る。 先は嫌がったが、寒空の下で月を肴に甘酒を啜ると悪くないと思えるのは何故だろう。 「それ、美味しいですか」 美味いし懐炉にもなる。飲んでみろ。 大井に飲みかけの甘酒を渡す。 甘酒は健康にも非常に良いから、人間にはありがたい物だ。 少し風が吹くだけでこうも金をかけねばならんのだから、人間ってのは面倒臭い。 それでも参拝は鉛の弾でもない限り何が降っても行く気だったからそれを後悔はしない。 寒いと言う理由だけで外に出ない程堕ちてたまるかと言う意地もあるし、偶には肩に背負った責務の事も忘れて 「おい! 誰が全部飲んで良いと言っ、た……?」 小さな缶を一気にぐいっと呷った大井に突っ込みを入れようとしたが、自分はその任務を達成できなかった。 横に座る私に突然まとわりついてきたからだ。 上半身を捻り私へしがみつくように腕を回す。 自然と大井の頭頂を見下ろす形になる。 「懐炉……です」 深夜。 人気もなく潮風がそのまま吹き付ける岸壁。 結局のところ大井がこんな場所で黄昏る訳は考えても分からないが、 寒さの中こうして熱を感じると有難みが増すようだ。 とか何とか気取っているがそれは嘘ぴょんで、 自分は人目がないのを良い事に此奴へ抱いた邪な感情を抑えているだけだ。 自分は理性が渦潮に飲み込まれないよう堪えている事をおくびにも出さず、乾燥した唇を開く。 「甘酒の方がいい」 「またさっきの力で抱き締めてあげましょうか」 だからそれはやめろ。 兎角こうされるのは自分も満更ではないが、まずは庁舎に戻らせてくれ。 自分はこの体勢のまま動かない大井を、引きずるようにして庁舎に戻った。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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217 :名無しさん@ピンキー:2014/02/01(土) 00 02 24.16 ID MsAUSfjy 那珂ちゃん改二の衣装でHなファンサービスをですね 握手と称して白手袋のままおにんにんを握らせたく 231 :握手会だよ! 改二那珂ちゃん:2014/02/02(日) 01 01 39.46 ID toGBP8nr 217にインスピレーションを受けて書いた短編投下。 陵辱というほどではないけど提督じゃない不特定な相手とエロ行為するのが苦手な人は退避されたし。 あと本番行為とかないです。握手だけだよ。 「やっほーみんなー! もっとステキになった那珂ちゃんのために集まってくれて、ありがとーっ!」 男たちの歓声に包まれながら、艦娘らしからぬフリフリ衣装でマイクを突き上げる。 改二へのアップグレードを記念しての、『特別ファン感謝イベント』は大入りの大盛況で、 彼女はまさに、正真正銘のアイドル艦娘として扱われる喜びを噛みしめていた。 (うーん、感無量っ。那珂ちゃん、今すっごい輝いてるって感じ! 今まで地方巡業とか、しつこいイロモノ扱いとかに耐えてきたかいがあったよね~ホント!) それにしても、今回集まったファンたちの顔ぶれは少し変わっていた。 ファンクラブ会員の中でも、VIP会員限定のイベントだと聞いていたが、 確かに裕福そうな年配の男か、さもなくばいかにも金持ちのボンボンといった連中がほとんどだ。 まあ、彼らが投資してくれるお金が鎮守府の財政を潤していると思えば悪い気はしない。 アイドルであると同時に艦娘。みんなのためにも笑顔で稼ぐ。それが那珂ちゃんのポリシーである。 「それじゃあ、いよいよメインイベントの握手会に移りまーす! 那珂ちゃんのお手々のカンショク、大切な思い出にして持って帰ってねー!」 笑顔で白手袋をひらひら振ると、男たちがひときわ熱狂に満ちた声で応える。 そう、それはまさにメインイベントだった――中心にいる彼女だけがまだ、その真実を知らない。 * * * * * 「……え? え……ええぇぇぇぇっっっ!!???」 硬直、驚愕、そして悲鳴。 机を挟んで向かい合ったまま一歩も動けず、目の前に突き出されたモノから目も離せない。 最前列の男が、手を差し出す代わりにズボンから取り出したのは――半勃ちになった男性器だった。 「え、えっと、その……あの、えぇぇ……なんなのコレぇ!?」 助けを求めるように、涙目で背後のマネージャー妖精を見る。 だが、返ってきたのは無表情で首を振る仕草。それで彼女はすべてを理解してしまった。 (VIP限定イベント……鎮守府の臨時収入源……って、こ、こういうことだったのぉ!?) ――途中でサプライズな展開が発生するかもしれないが、それはイベントの段取りのうちで、 絶対に流れを遵守し、そしてファンの要望には従うように――確かに、そう最初に説明は受けていた。 でも、それがまさか……こんなことだなんて。 「あれえ、どうしたの? 早く握手をお願いしたいんだけどなぁ」 90度の角度でブラブラ揺れる赤黒い棒の持ち主が、キモい笑いを浮かべながら迫ってくる。 すぐにでも悲鳴をあげて逃げ出したい――普通の女の子ならそうする。だが、彼女はアイドルだ。 「は、はいっ! ご、ゴメンねっ、す……すぐにするからっ!」 段取りには従い、ファンの希望には応える。それがアイドルとして生きるための鉄則である。 バクバク鳴る心臓をおさえ、恐る恐る伸ばした震える指先が……グロテスクな肉の棒に、ぴとっと触れた。 (……あ、熱いっ!? なっなにコレ、風邪でもひいてるのー!?) 初めて触るその部位から、手袋越しにでも伝わる高い熱は、同じ人体の一部とは思えないほどだ。 しかも、触った瞬間それはビクッと痙攣したように跳ね上がったから、慌てて手を引っ込めそうになる。 「お、おお……サテンの感触がぁ……! ほら、ちゃんと握ってよ那珂ちゃん!」 (うう、やっぱちゃんと握らないとダメ、だよねー……き、キモいよぉ、最悪ぅ……!) 内心どんなにドン引きでも、それでも笑顔を絶やすことはアイドルには許されない。 ひきつった顔で微笑みを返しながら、太い肉のかたまりをちゃんと握ろうとして、発生した問題に気付く。 (な、なんか角度がさっきより上向きになってきてない……? それに硬くなってる、よう、な?) すべらかな白手袋の指先にフェザータッチされたチンポは嬉しそうにビクビクと硬度を増し、 90度から180度へと仰角を上げつつあった。これでは握手するような向きで握るのは困難だ。 やむなく、マイクでも握るように手を立て、親指の先を上に向けて、そそり立つ赤黒いモノをそっと包む。 「おっふぅ!? いッイイよぉ、その握り方ッ!」 「え、えっえっ?(……なっ何、何!? イイって何がっ!?)」 困惑する彼女には違いがよくわかってないが、親指の腹がちょうどカサの付け根部分、 裏筋を優しく押し潰すようにぐにゅっと当てられていた。 その刺激で内部の管から押し出された先走りが、はちきれそうな先端に透明の雫となって浮き出てくる。 「さあ那珂ちゃん、そのイイ角度のままお手々をゆっくりニギニギしてみようか」 「う、うん……。こう、かな?」 言われるがままに指に力を入れると、想像以上の弾力が跳ね返ってくる。熱さも相変わらずだ。 (ヘンなの、硬くて熱くて、ゴムのかたまりみたい……絶対、中に骨とか入ってるよ……!) 人体の神秘に当惑しながらも、律儀に強弱をつけてフル勃起したモノをぐにぐにと刺激する。 そのたびに男が、おふぅとかあふぅとか妙な声をあげて腰を震わせ、さらに硬さ熱さが増大していく。 りゅぐっ、しゅりゅっ……と、白手袋の生地が血管の浮いた黒っぽい皮とこすれて奇妙な音を立てる。 (う~、も、もう握手でもなんでもないような……てゆーか、いつまで続ければいいのこれ!?) いつの間にか、刺激の強弱に合わせて男が腰を前後に動かし、半強制的にシゴかせる体勢となっていた。 パンパンに腫れ上がった亀頭の鈴口から、溢れた先走り液が床にポタポタと垂れていく。 それは手袋にもじんわりと染みて、コスりあげる音に水っぽいものを混じらせて……そして、唐突に。 「……ううッ、那珂ちゃん! 那珂ちゃんのアイドル白手袋で握られて出すよっ、いいよねッ!?」 「え、あっ、うん、いい、よ? いいけど……えっ?」 わけもわからず反射的にそう答えた次の瞬間、 白手袋に包まれた細い指の中で、ビキビキッ!と限界以上に肉棒が張り詰め……そして弾けた。 ――ブビュルルルルッッ!! ビュッ、ドビュルルゥウッ!! ドクンドクンッッ! 「きゃっ!? う、うわぁ……! ええぇっ……ええーっ!?」 今、自分が握っているものの中を何かが通って、 蛇口から噴き出す水流のように勢いよく発射されているのだ――とぼんやり理解しつつ、 何度も何度も放たれる、太くて白い粘液の筋を呆然と見つめる。 「ふぉぉ、那珂ちゃん! シゴいて今っ! もっと強くッ! 早くっ!!」 「え、えええ? こ、こう!?」 懇願する声に促されるまま、痛いのではないかというくらい力を入れて、しゅこしゅこと腕を動かす。 熱い肉のホースは嬉しそうに跳ね回りながら、溜め込んだ白濁をその淫らな動きでシゴき出されていく。 むわぁ……と周囲に広がるオスの臭いが、アイドルの麻痺した頭をいっそう朦朧とさせた。 「はあぁ……良かったよ、那珂ちゃんの握手、最高だったよ……!」 「え? ええと……よ、よろこんでくれてありがと……」 はぁはぁと荒い息の中、上気した顔でやっと答える。嫌悪感より先に、不思議な充足感があった。 ファンが自分との関わりで幸せになっている。自分だけを今、見ている。 アイドルの自分を――それは間違いない事実だった。 (……よし!) 呼吸を整え、目を閉じて、開く。そこには満面の笑顔を浮かべたアイドルの顔があった。 「みんなー! 那珂ちゃん、握手会精一杯頑張るから! 最後まで楽しんでってね!」 何かを吹っ切ったその声に、ずらりと並んだ男たちが、股間を膨らませながら歓声をあげた。 メインイベントは、まだまだ始まったばかりなのだ――。 (おしまい)
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358 :3-91:2014/03/29(土) 06 06 33.52 ID S1E+yebI もう朝ですが投下します 提督×霞で「霞の早漏矯正とれーにんぐ」 ソフト淫語罵倒責め含む 当方にMの覚悟あり!という方もそうでない方も ちょっと長くなったので途中連投規制で間隔空くかもしれません 359 :提督×霞①:2014/03/29(土) 06 08 07.09 ID S1E+yebI 「ねえクズ司令官。ひとつ訊くけど、あんたって早漏でしょ」 「ち、違う……そんなことは……」 「……あたしの目を見て、本当のことを言いなさいな。早漏なんでしょう」 「ハイ、司令官早漏です……」 じっさい、いま霞が顔一面に、浴びるように司令官の白濁液をねばりつかせているのが、その何よりの証左だった。 霞は異臭のするそれを不快そうに拭いながら、とくとくと説教を始める。 「ほんっとにもう……ねえ。こんなにあっけなく射精しちゃうって、どういう了見? いい? 艦娘たちの日々の疲れを労って、時には体で“慰安”するのは、 この鎮守府ただ一人の男であるあんたの役目なのよ。 それが、こんなあっという間に暴発してて務まると思ってんの!? 正直言ってこれ、艦隊の士気に関わる問題よね?」 「おっしゃる通りです……」 そう、霞の指摘どおり、この鎮守府では司令官が艦娘の性的慰労を行うのは当たり前、という慣習があった。 この司令官とて、艦娘に求められて行為に及んだことは二度や三度ではない。 半ば無理矢理に求められては艦娘に搾られる日々。 それを見かねてか秘書艦である霞は、たまには司令官をいたわってやろうと、 この夜、彼を純粋に“気持ちよくするため”の奉仕を申し出たのである。もちろん司令官、これを二つ返事で受けた。 ところがソレを取り出して間もないうちに、わずかに擦っただけで司令官が暴発してしまった。 いわゆる過早発射である。 その速さたるや、きっとかの島風だって驚いて足を止めたに違いない。 そしてそのあまりの男としての不甲斐なさに、霞の怒髪が天を突き、今に至るのだった。 * 「これから早漏矯正訓練を始めるわ」 霞が冷ややかに言い放つ。 「返事は?」 「ハ、ハイ!」 「よろしい。せっかくだし今夜はねぎらってやろうかなんて思ってたけど、 そういうのはナシよ。はい、服全部脱いで、そこの布団に正座」 「ハイ……」 さっき霞の手であっという間に達してしまったバツの悪さもあって、ほとんど言いなり状態で霞の命令に従う司令官。 司令官が布団に座ると、霞も目の前に正座して向き合った。 ちなみに霞は服を着たままだ。 「とりあえずまずは、ちっちゃくなっちゃってるおちんちん、勃たせるわよ」 霞は言い放つと、細い腕を司令官の下半身に伸ばし、叱責されてすっかりしょげていた司令官のモノに手を添える。 「あっ……か、霞……」 まだ快感のじんとした痺れが残る部位に触れられて、司令官がうめき声を上げるが、霞は意に介さない。 「はいそこ、情けない声出さない」 片手で隠れそうな大きさに萎えてしまったソレを、霞は人差し指と中指と親指で、 つまむように持ち、くすぐるような指使いでこすこすと擦り立てていく。 単調にならないよう、ときおり先端の方にも指をすべらせ、皮の下に潜ったカリや亀頭部にも刺激をくわえる。 霞は顔射にはさすがに激怒するものの、ペニスそのものに嫌悪を抱いているわけではないらしい。丁寧な責めだった。 「ん、だいぶ硬くなってきたわね」 司令官も驚いたことに、ものの一分ほど霞の手の中でやわやわと弄ばれただけで、 彼のモノはかなり硬度を取り戻していた。砲は仰角を向き、先端を十分に露出させている。 「じゃあ最後にちょっとくわえるわよ、我慢なさい」 「え、くわえるって…うわっ!」 言うが早いか、霞は仕上げとばかりに隆起したペニスをはくっとくわえこんだ。 司令官は不意の刺激に思わず砲身ごと身体を震わせる。 霞の口淫は、今は射精させることが目的ではないので、舌も使わないごくあっさりしたものだ。 しかしその口内の湿りと、熱さと、何より普段まったく容赦を見せない秘書艦が、たとえ訓練という事情であれ、 自分に奉仕してくれている至福が、彼を否応なく昂ぶらせた。 霞は口の中でゆっくりゆっくり、スゥプをそそぐように竿に唾液をしたたらせる。 そして中のものがいよいよ最大仰角になったのを確認すると、 よけいな刺激を与えないようにそっと口から抜き、自分の唇の端のよだれを拭った。 「はい、これで準備完了ね」 「ハ、ハイ……」 たしかに今や、彼の怒張は天をも指さんぐらいにそり返り、誰が見ても臨戦態勢に変化していた。 そそり立った肉茎は期待に震えるようにひくひくと揺れ、その先端からは露のようなしたたりが垂れ、 霞の唾液と混じって全体をしっとり濡らしている。 司令官自身、たぶんあのまま霞の口内に包まれたままだったら、舌を使われなくても危なかっただろうという実感がある。 それだけに、これからの訓練と称する恐ろしい責めへの期待と、 もし耐えられなかったらどうなるのかという不安が胸にうずまいていた。 そんな心中をよそに、霞は「ちょっと借りるわよ」と言って、 司令官の脱いだ服の上にあった腕時計を取り上げ、それを左手首に巻く。 「いまからクズ司令官のための早漏矯正訓練、本番を始めるわ」 「……ハ、ハイ!」 「今晩の目標は、あたしの責めに10分間耐えることよ、いい? ちなみにもし途中で我慢できなくなっておもらししちゃったりするようなら、 どんなおしおきが来るかわかんないから、覚えときなさい」 「ハイ……」 * 「まずは手で5分間、するわよ」 霞はそう言って一方の手ですっかり熱く硬くなった剛直を握り、もう一方の腕の時計に目をやる。 「はい、スタートっ」 合図と同時に、静まりかえっていた部屋にちゅくちゅくという水音が響きだした。 その激しさは、さっきまでの萎えたモノを勃たせるだけの奉仕とは比べものにならない。 裏筋を、親指の腹で押すように強くなぞられ、 かと思うと、今度は指の輪でカリをしゅるしゅるとしごかれる。 ひとつひとつの責めに、快感が背筋をぞくぞくと這いのぼるかのようだ。 右手が竿をしごく役目に回ると、今度は左手が伸びてきて、 わずかに指を曲げた形の手のひらが亀頭の上にかぶせられ、くるくると舞い始める。まるで大道芸の傘回しだ。 亀頭をすっぽり覆った霞の手のひらの柔肉は、ただ置かれているだけでも、 尿道口、カリと敏感な部位にあますところなく性感を送り続ける。 霞の指の節が鈴口に触れ、こりこりと刺激されたとき、司令官は思わず声を漏らした。 「うあぁっ……あ、霞っ……も、もう少しゆっくり……」 「はぁ!? だらしないったら……あたしこれでも手かげんはしてるつもりよ?」 「そ、そんな……」 「いいから、お腹に力を入れて堪えなさい! さもなきゃ歴代海軍大臣の顔でも思い浮かべてがんばって萎えさせなさい」 「うぅっ……!」 結局、司令官がとったのは、霞から目をそらし、ぎゅっと目をつぶる、という方法だった。 実のところ、霞が自分のモノを一心にしごき立てている光景はあまりに扇情的すぎて、 それだけでも暴発に至りかねないような危険なモノだったからだ。 性に開放的な鎮守府で、そういう素振りを普段まったく見せない彼女が行うだけに、破壊力も大きい。 「なによ、親切に指導してあげてるのに、もうあたしの顔も見てたくないってわけ?」 ……しかしこれがかえって霞の神経を逆撫でしたらしい。 「……まあ、いいけど。じゃあこっちにも考えがあるわ」 そう言うと霞は、先端に集中していた責めを、しごき立てる動きに切り替えた。 とくとくと溢れている先走りをすくい取ると、それを竿に塗りつける。 そして根本から先端までを、容赦のないストロークで一気にしごき上げていく。 「~~~~~っっ!!!」 目をつぶっているだけに、音と感触で、霞が今何を行っているかがいっそう敏感に感じ取れてしまう。 手が上下するときに、指が小指から人差し指へと順番に力が加えられていき、 まるで搾られ射精をうながされるような感触。 ふっくらした手のひらに、ペニスをぎゅっ、ぎゅっ、と揉み込むように、 心地よく締め上げられ、こみあげる圧迫の快感。 淫猥さを煽り立てるような粘りのついた水音。 くちゅ、くちゅくちゅっ、くちゅ。 それらが激しくしごき立てられる感触と共に襲ってくるのだ。 やばい。耐えられない。 司令官がそう思った矢先。 「……はい、ちゃんと5分、我慢できたわね。ひとまず手のコースはおしまいよ」 時間終了とともに、霞は潮が引くようにあっさりと、責めを中断した。 助かった……と司令官は胸をなで下ろす。 この切り替えの早いドライさが霞の特徴でもある。 もしあのまま手の責めだけでも、10分間ぶっ通しで続けられていたら、発射しないでいるのは不可能だったろう……。 「はい、じゃあ次さっさといくわよ。口でするから5分間、堪えなさい」 * 「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくれ霞!」 口でする、との言葉に司令官は大いにうろたえた。先ほど萎えてたのを勃たせるときに行ったあの責めを思い出したためだ。 舌すら使わないのに、あの快感。 あれを5分間手かげんなしでやられたら、我慢するどころの話ではない。 「なに? なにが『待ってくれ』なの? 先延ばしのつもり!? そういう姑息な手段をとるんなら、時間をさらに延長するわよ!」 「い、いや違う、そうじゃなくてその、霞、なんだ、あの……」 「言いたいことがあるんならはっきり言いなさい!!」 「ご、ご褒美!これに耐えきったらご褒美とかってないのか!?」 「……はぁ?」 またもや激昂しかけていた霞だったが、あまりに予想外の言葉に思わず呆れ顔を見せた。 「……ご褒美って、なによ? 何してほしいわけ?」 「た、たとえば耐えきったら霞を抱かせてくれるとか!!」 言い放った直後、司令官は部屋の空気が凍るのを感じた。 あ、これはまずいなと直感的に悟る。いつもの霞の怒りが爆発する前の静けさだ。 おそるおそる霞の顔色をうかがおうとした瞬間。 ベチィッ! 「へぶっ」 霞の平手打ちである。司令官の頬がいい角度に張られ、真っ赤なもみじが開く。 そこに悪役レスラーの追い打ちのような霞の痛罵が浴びせられた。 「……~~っのクズ!! 変態!!! そんなこと考えながらあたしの訓練を受けてたワケ!!?」 「……だ、だってホントは俺が暴発さえしなければ、させてくれるつもりだったんじゃ……」 「あたしは! あんたの溜まってる疲れをヌいてやろうとしただけ! 自分の上官を駆逐艦を抱きたがる変態に仕立て上げるつもりはないったら!!!」 いや、その理屈はおかしいと司令官は言いたかったが、とにかく霞の論理では、性的奉仕と男が女を抱くことはまったく別モノなのだろう。 ついでに駆逐艦に欲情するのはご法度らしい。酷な話である。 「ち、違うぞ霞! 俺は駆逐艦だから抱きたいんじゃなくて、お前だから…か、霞だから抱きたいんだっ!!」 「……は、はあぁ!!?」 霞、今度は本当の呆れ顔。 「そ、その、さっき思わず発射してしまったのも、霞がしてくれるっていうから嬉しすぎて……」 「と、突然なに言って……!!」 司令官がとつとつと語る告白に、今度は霞が頬を赤くする番だった。 それは霞が、司令官の言葉がただの言い逃れでなく、とっさに転げ出た本音だとなんとなく悟ったからに違いない。 「霞は……霞はこんな俺のずっと秘書艦を務めてくれるしさ、それにいつも俺にクズだの何だの言うのも、 本当は俺を鍛えようとしてくれてるからだって気づいてからは感謝してて……」 司令官自身、いきなり抱かせてくれと叫んでからの告白だったが、口にしていくうちに、自分でもこっちこそが本心なのだと気づき始めた。 霞が好きで、それだからちゃんと抱きたい。 ちゃんと抱きたいから、それにふさわしい司令官になりたいのだ。 「な、なぁ……だから霞、その、耐えきったら……」 「……まったく。いちいち言うタイミングおかしいったら……」 そう言う霞の頬は、怒りによってか照れによってか真っ赤だ。 「え? いま何て……おぶっ」 ベチィッ! 霞の平手打ちがもう片方の頬をひっぱたいた。 「あのねぇ、勘違いしてるようだから言っておくけど、あたしはあんたを鍛えてるつもりなんかないわよ!? ただみじめで情けないクズ司令に、身の程を思い知らせてやってるだけ!!」 いや、それならそもそもこんな親身になって訓練したりしないのでは……。 とは思っても、これ以上殴られたくないので口には出さない司令官である。 「……まあ、言いたいことだけはわかったわ……あたしを抱きたいって、ストレートに言ったその度胸だけは、ほ、ほめてあげる」 霞からは滅多に出ないその言葉に、司令官が思わず顔をぱっと上げた。 「……いいわよ。そのかわり、訓練は最後までやりとげなさい。 ちゃんと我慢できたら、そのときは……」 * 「じゃあいい? 10分よ。あたしが口でするから、10分間それに耐えること」 ふたたびお互い向かい合っての正座である。 さっきの手での奉仕を5分間耐えたのは、途中でゴタゴタが入ったためノーカウントとなった。 「正座だとやりづらいわ……ちょっと足広げなさい」 言われるがままに、司令官が正座の体勢から膝を60度ぐらいに開くと、そのスペースに霞が入りこんできた。 「じゃ、いくわよ……」 それが開始の合図となって、霞が司令官の太股の間へ顔をうずめた。 「うあっ……!」 今回の10分のカウントは、先ほどと違い、勃たせる時間も含めた10分となっている。 当然小さくしたままの時間が長引けばそれだけ司令官には有利だ。 しかし高揚と期待からすでに半ば大きくしていたモノを、濡らされ、ねぶられ、 口でもむもむと転がされては、耐えるどころの話ではない。 あっという間にソレはむくむくと鎌首をもたげ、霞の口に含まれたまま、最大まで育ってしまった。 そして、それと同時に霞が本格的な責めを始める。 まずは形を覚えこむように、それぞれの部位を舌がなぞる。 張り出した海綿体や、裏筋、カリ、鈴口の上を、ちろちろと、時にはひたっと舌全体をまとわりつかせて。 それが終わると、今度は余裕を見せつけるように、亀頭だけを口にふくみ、舌先や唇でソレをもてあそぶ。 敏感な部位を重点的に責められると、射精感よりも先に我慢できないくすぐったさがこみあげ、 まさに嬲られているようだった。 「ふ、ああぁぁっ……!!」 たまらず司令官は声を上げる。そうしないとこのまま雰囲気に飲まれ、 またたく間に射精に導かれてしまいそうだったからだ。 しかし霞がそれを咎めだてるわけでもない今、声は水音に混じってむなしく響くばかり。 むしろ、こんな駆逐艦の少女に責め立てられて声を震わせてしまう彼の情けなさを強調するようで、滑稽だった。 そんな司令官をよそに、霞は熱に浮かされたような献身的な責めを、命令に従う兵卒のような冷徹さで行っていく。 しばらく頬張って熱い口内で肉茎をもてあそぶ動きをしていた霞は、 つぎは頭を前後させる動きに切り替えたようだ。 一瞬、カリから下の部分までが空気にさらされる感触に司令官がとまどうと、 次の瞬間、一気に口の中へと引き戻される。 ペニス全体が、熱い湯にとっぷり浸かったような快感。 (あああぁぁっ……!) ちゅぷ、じゅぷぷ、ちゅぷ、と。 霞の頭が前後するごとに、快楽が襲い、また裸のまま外気に放り出されては、 再び快楽の洗礼に浸される感覚。まさにアメとムチだった。 (くっ、あと、あと5分……!) 今回は口淫のため、霞が時計を見ている余裕はなく、腕時計は司令官の左腕に付けられている。 追い詰められた彼が出来ることは、文字盤をひたすら見つめて、早く終わるのを祈るだけである。 「なによ、もう声を上げる余裕もなくなったワケ? クズ司令官」 ふいに、ペニスを責め立てるのを中断して、霞が話しかけてくる。 「もう早漏の単装砲、我慢できないの? 発射しちゃうつもり?」 さっき必死で照れ隠ししていたのもどこへやら、 司令官を責め立てるうちにまた霞らしさを取り戻したらしく、そんな風に煽り立ててくる。 「い、いや、お前の責めがあんまり単調で寝そうになってただけさ」 これに司令官は、軽口を叩きかえしたつもりだった。 しかしそのセリフを聞いた霞の表情が驚きに、そして次の瞬間、怒りの表情へと変わっていったのを見て、 彼は瞬時に、自分がまずいことを口走ったのを悟った。 司令官は霞に、本当の本当に容赦ない苛烈な攻撃を加える免状を与えてしまったのだ。 「……ふぅん、言うようになったじゃない」 それだけ言うと、霞は。 自分の唇を一度舌で舐めてから、司令官のペニスを口に含み、一気に吸い上げ始めた。 ちゅううぅっ、ちゅぷ、ちゅうう、と音が立てられるほどに。 「うあ、ああぁぁっ……!!」 強烈なバキュームに脳が灼けるような快感を味わわされ、ほとんど無意識に声を漏らす。 だが当然、手心は加えられない。 唾液がしたたり、淫らな音が響くのもおかまいなしの、霞のなりふりかまわない責めだった。 形のよい唇に根本はきゅうきゅうと締めつけられ、敏感な部位は絶えず舌に嬲られている。 そして熱を帯びた口内の粘膜に、根本から先端までの竿全体が圧迫されるのだ。 もはや霞の口内ぜんぶが、屈辱的な射精へと彼を送りこむために運動していると言ってよかった。 めくるめく快楽と共に、司令官は頭の中で霞の先ほどの言葉がリフレインされるのを感じる。 『もう早漏の単装砲、我慢できないの? 発射しちゃうつもり?』 終わるわけにはいかない。彼が背負っているのは、霞が罵倒の裏に込める期待なのだ(と、少なくとも司令官は信じている)。 そして何より、この責めを耐え抜いたあとでの「ご褒美」である。 ふいに、唇の締めつけが弱まる。と思うが早いか、それは砲身を上へ上へと滑っていき、カリに達して止まる。 次の瞬間、唇の中に包まれた亀頭だけが吸い上げられ、白く痺れるような快楽が弾けた。 (…………っ!!!!) 唾液でいっぱいの口内に優しく含まれ、激しく吸いたてられる感触。 神経の集まった先端だけをねぶられ、むずがゆさが昇華して快楽に生まれ変わったような感覚が花開く。 そんな中、ちろっ、とほんの気まぐれのように、霞の細い舌先が鈴口をくすぐったとき。 「……あっ…………~~っ……!!」 駄目だと思う間もなく。 ほとんど声もないまま、司令官は昇天させられていた。 とくっ、とく、とく、と精液が尿道をかけのぼっていく感触すらしっかりと感じられる。 それに誘われるまま、びゅーっ、びゅっ、と霞の口内に射精してしまう。 打ち出す度に、腰が震えるのがわかった。 「んっ……ぐっ、んむぷっ……!! んぅぅ……」 長々といじめ抜かれたため水っぽくなった粘液が放たれると、 霞は明らかな嫌悪の声を上げつつ、喉の奥で受け止める。 「~~~~~っっ!! ェホッ!!んぐッ、ケホッ!!」 そして司令官がようやく吐精を終えるやいなや、霞は彼の下半身を突き飛ばして咳きこんだ。 出されたものをしっかり飲みこんで、吐き出さなかったのは、ひとえに霞のプライドゆえだろう。 ひとしきりえづいてから、霞は司令官に向き直る。 「……っのクズ、出すんなら、一言出すって言ってからに……」 霞は途中まで言いかけた罵倒の言葉を、司令官の目を見て飲みこんだ。 「ええっと……ねぇ……まさか、泣いてんの?」 ……そのまさかだった。 霞の口淫によって絶頂に導かれた末、この司令官は。 全裸のまま、はたはたと涙を流し、背中を丸めて声もなく泣いていた。 ……あの。いきなり口の中に出されて、泣きたいのはこっちなんだけど。 霞はそんなことを思いつつも、かける言葉が見当たらずにいた。 そもそも、少女にあっけなく射精させられた大の男が次の瞬間はらはら泣き出したなどという場面において、 それにかけるべき適切な言葉が、この地上に存在するのか。 「……んーと……そんなに、あたしとしたかったワケ……?」 いろいろ考えた末に霞がかけた言葉はそれだった。 『ちゃんと我慢できたら、そのときは……“ご褒美”あげるから』 二人が先ほど交わした取り決め。霞の“訓練”を司令官が耐え抜いたあかつきには、霞が体を許すという約束。 もちろんこれは、たった今、3分ほどを残して彼が達してしまったためご破算になったけれど。 「あたしとご褒美えっち、出来なくなっちゃったから、それで泣いてるの? ……ねえ、答えなさいよ」 「う……うるさい……」 司令官、まさかの逆ギレである。 さしもの霞も、ここにきてその忍耐は切れた。 「ああ~~~っもう!!!」 怒声をあげつつ霞がとった行動は。 ぎゅむっ。 「うあっ……!」 司令官のモノを鷲づかみにすることだった。 「か、霞っ……何を……」 「クズ司令は黙ってなさい!!」 さすがにうめき声をあげた司令官を、ぴしゃりと叱って黙らせる霞。 「……もういいわ。クズ司令と話しててもちっとも要領を得ないもの。だからあたし、 こっちと――司令のおちんちんとお話することにしたわ」 そう宣言しつつ。霞は言葉どおり、司令官の顔ではなく股間を覗きこみながら、 咲き始めのつぼみに水をやるように、それに話しかけ出した。 * 「……まあ、あたしだって、クズ司令が女の子に二回も手や口でたやすく射精させられちゃったからって、 それでくやしくって泣いてるだけだなんて、さすがに思わないわ。 いっくら早漏おちんちんのみじめったらしくて情けないクズ司令官とはいえ、あたしが毎日きつい言葉ばっかり浴びせても、 ちっともへこたれないような図太い男だもの。そんなことで泣いたりしないはずよね」 息がかかるくらいの距離で、「おちんちん」に言葉をかけ続ける霞。 その一方で霞の手は、暇なときの手遊びのように司令官のペニスをもてあそんでいる。 触られ、息を吹きかけられるたびに、奇妙な形のソレが、ぴくぴくと首を振るように震えたり、 ほんの少し硬くなったり、大きくなったりする。 その様子はまるで本当に霞と「話して」いるかのようだ。 「くやしかったからじゃないでしょ? ほんとは、自分が情けないから泣きたくなっちゃったのよね? ね。だって、ちゃんとあたしの早漏おちんちんの特訓、我慢できたらあたしを抱くって、そう約束したのに。 その約束を守れないでまたおもらししちゃったもんだから、それで情けなくって泣いちゃったんでしょ?」 熱い吐息まじりに、霞の幼い声でつむがれる淫語を浴びて、また司令官の砲身はみるみる大きさを増していった。 二回も精を漏らしてしまったことなど関係ないかのごとく、その勢いはゆるぎない。 霞の方もそれを確認すると、手を上下させる動きに切り替えていく。 くちゅくちゅ、という水音とともに、やまない霞の罵倒。 「クズ司令官はきっと、男が女を抱くみたいに、ちゃんとあたしを抱きたかったのよね? ちゃんとおちんちんの辛抱ができる男になってから、あたしの駆逐艦おまんこの中におちんちんを入れて、 自分からたくさん腰を振って、それであたしを先に声をあげるくらい気持ちよくさせてから、 あたしがよがる声を聞きながら、自分もいっぱい、おちんちん気持ちよくなりたかったんでしょ?」 「あっ……く、ふあぁ……っ!!」 淫らでうぬぼれた男の心裡をあばきたてるように、霞の口調は激しさを増していく。 それとともに司令官の肉茎は霞の手の中で、赤面するみたいにカーッと灼熱する。 耐えかねた司令官が霞の頭の上で快楽の声を漏らすが、 股間に顔を近よせて「おちんちん」と会話している霞には知ったことではない。 「……あたしを抱きたくて、そのためにも早漏おちんちんの訓練がんばらなきゃいけなかったのに、 あたしの口にくわえられて、くちゅくちゅされたり、舌で舐めてもらうのが、気持ちよくってたまらなくって、 我慢できなかったのよね? それで、おちんちんに登ってくるキモチイイえっちな気分に負けちゃって、 白いおしっこびゅーびゅー、おもらししちゃったのよね?」 自分の密かに抱いていた欲望、霞に責められながら感じていた快楽のひと襞ひと襞を、そのままに言い当てられる恥辱。 そのたびに司令官の下半身は、かゆいような、もどかしいような、じくじくした快感に襲われる。 まるで霞の罵倒が矢となって、腰の奥、快楽の中心へ突き立てられるようだ。 「あたしとの約束も守れなくて、あたしを幻滅させちゃって、そんな自分が情けなくて仕方なくて…… だから何も言えなくて、ぽろぽろ泣くしか出来なくなっちゃった……違うかしら?」 そう言うとようやく「おちんちん」から目を上げて、司令官の顔を覗きこんで。 「そうなんでしょ? 司令官」 「か、霞……俺は、俺は……」 そう呟くやいなや、霞の肩を抱いて、その胸に顔をうずめる司令官。 「霞ぃ……こんな情けない司令官で、ごめん……」 くぐもった声で、彼はそう吐露する。 霞も別にそれを叱責することなく、 「はいはい。いいのよ別に……あんたが海軍始まって以来のクズ司令で、 すっごく面倒くさいヤツなの、あたしはもうよくわかってんの。それだけよ」 そんな風に言いながら、子供のように自分の胸の中に頭を預けうなだれる司令官を、 腕を回して(手は汚れているので)なんとなく抱きしめてやる。 股間にはあられもなく砲をいきり立たせて、全裸で少女に頭を抱かれる様は、それこそ情けなさの極致ではあったけれども。 何だかんだこの司令官も、自分の言葉と行動に責任を持つ男なのだ。 そうして自分の弱さのおかげでそれを果たせないときは、こうして悔やむ男なのである。 霞はその強さ弱さを、きっと十分承知しているのだった。 「なぁ、ところで霞……」 「……なに? 早漏おちんちんのクズ司令」 「そ、そろそろ、擦るのをやめてほしいんだが……」 霞の一方の手はいまだにさっきから司令官のモノに添えられて、それをちゅくちゅくと擦り上げる動きをやめないでいた。 「ダメ、やめるわけにはいかないわよ。おしおきのためなんだから」 「お、お仕置き……!?」 なるほど、霞の早漏矯正訓練を完遂できなかった司令官には、“お仕置き”が必要なのは確かだろう。 しかし、これではさっきまでの“訓練”と何が違うのか? と司令官が思った矢先。 ぷつ、ぷつ、と音を立てて、霞が余った方の手でゆっくりと、自らのシャツのボタンを外し出した。 「……か、かかか霞っ!?」 「うるさいのよ! 黙って見てなさいったら」 見てなさい、と言われなくてもきっと、司令官は目を離せなかったろう。 霞の肩の曲線から、スカートを吊っていた肩紐がするりと滑り落ちる。肘までの手袋も、リボンと靴下も、続いて布団の上へ。 そうしてシャツの前がはだけられると、海のようなブルーグリーンの下着の上下が露わになった。 ブラを外そうとするとき、霞は少しだけ羞恥の表情を浮かべる。 けれど、そのために手がもたつくようなことはなく、逆にそうした方が恥ずかしくないとでも言うように、 霞は一瞬の動作で、手早く下着を脱ぎ去った。 「さ、来なさい。司令官」 「え……うわっ!」 一糸まとわぬ姿になるが早いか、霞は司令官の首に腕を回すと、そのまま一緒に布団へと倒れ込んだ。 寝具の上、素裸のままの二人が、司令官が上、霞が下になって、折り重なる。 司令官が霞によって二度も登り詰めさせられた末、霞から引き倒されて、という経緯でさえなければ、 彼が夢にまで見たシチュエーションそのままだったに違いない。 「いい? 司令官」 状況に理解が追いつかず、口もきけずに混乱する司令官の目を見ながら、霞がささやく。 「このまま、あたしの中におちんちんを突き入れるの。 そしたらどうせ、あんたは耐えきれなくなってびゅっびゅってしゃせーしちゃうもの。 そのときのだらしないイキ顔、あたしに見せながら、イッちゃいなさい……それが、クズ司令へのおしおきよ」 上気した顔で、はずむ吐息で、霞はそう宣告する。 「か、霞っ!!? そ、それってその、もしかして俺へのご、ご褒美でぅごごっ!」 どもる司令官に、胸骨の下にするどい膝蹴りが入れられる。 「な、何度言わせんのよっ!! あ、あたしはっ! よく考えたら手や口でしてばっかりで、あんたがイくときの顔、 全然見れてないからっ! だからこうして正常位せっくすで、クズ司令の気持ちよくなっちゃったときのみっともない顔を見て、 思いっきり馬鹿にしてやろうって思っただけなんだったら!!」 「さ、左様ですか……」 一瞬、呼吸困難になるくらいのニーキックをもらいつつも、司令官はなんとなく悟る。 きっと霞の罵倒やら暴行やらは、特に理由のない暴力ではない。 それらは、ぜんぶ彼を遠慮させないための気遣いなのだ。 もしかしたら本人の照れ隠しもちょっぴり入ってるのかもしれない。 「霞……」 「な、なによ……」 膝蹴りはやりすぎたと思っているのか、霞の声は少し上ずっている。 「その、い、いいんだな……?」 「……いいも何も、お、おしおきだって言ってるじゃない。選択権はないわよ」 「そ、それじゃあ……」 そう言いつつ司令官は、霞の下半身におそるおそる指をすべらすと。 ほころびさえない、ぴったり閉じた霞の割れ目を、するするとなぞり出した。 「えっ、ちょっ……!」 幼いクリトリスはたぶん包皮ごと、割れ目の中にしまいこまれているのか。 司令官はその位置を探り出すと、二本の指ではさみ、揉み上げ、撫でまわしてやる。 「な、何やってんのっ!!? さっさと挿れなさいよっ!」 「いや、だ、だって霞のも濡らさないと挿れるどころじゃ……」 「濡らすって……だ、だからって、あっ、いやぁ、ちょっ! ダ、ダメェっ!!」 つぷっ、と。 司令官の指が一本、霞の入り口の中、せまい膣に締めつけられるようにしながら、すべりこむ。 未発達の膣内はまだそれほど快楽を受け止めるように出来てはいない。 けれどクリトリスを巻き込むように、指がつぷつぷと入っていくものだから、 その陰核への刺激が嫌でも快感を呼び起こしてしまうのだ。 霞は明らかな制止の声を上げたが、ちょっと意趣返しのつもりもあったのか、司令官はやめようとしない。 ちゅくっ。 「ん……?」 突き入れた指に湿ったものを感じて、引き抜く司令官。 見ると指を濡らしているのは、滴るほどの透明な粘液だ。 「か、霞……なぁ、もしかして最初っから濡れて……」 「は? ……な……う。うそ、バ、バカァっ!!」 霞自身、指摘されて初めて気がついたらしい。 真っ赤な顔で茫然自失している霞を見ていて、司令官は何を思ったか。 霞の中からあふれたもので濡れた自分の指を、ふと、親指でこすって確かめる。 「…………っ!!!?」 霞が声にならない声を上げる。 にゅち。指を離すと、その間に糸ができた。 「……粘ってるぞ」 「なっ……~~~~~~~ぁぁっ!! バ、バカっ!! クズ!!! 変態!!変態!!!! やめっ、やめなさいったら!!」 もはや平手を張る余裕すら失ったのか、霞はほとんど半狂乱で叫ぶ。 そこに、いつもの鬼教官然として気勢を張っている霞の姿は、ほとんど見当たらなかった。 もしかすると本当は、これが霞の“素”なのではないか。 「霞……」 「う、うるさいっ!! もう言わないでよっ! クズっ!! バカ、って、ん、んむッ……」 いつもの虚勢を張る霞も、余裕をなくしたとたん普通の恥じらう少女に戻る霞も。 どちらもたまらなくいじらしいと思ったとき、司令官は無意識に、口づけていた。 霞は一瞬息をうばわれたように固まると、一瞬目を見開いてから、唇から逃げようとする。 「んぅぅ……んむ、ぷ、はぁっ、やぁっ、ちょっと……あぁっ……! くぅぅん、んんッ……」 首をそむけて逃げる霞を、姫の後に従う従者のように追いすがって、再度口づけた。 今度は唇に舌をさしこみ絡まりあうように。 「く、んぅぅっ……んっ、ふぅぅ、んあぁぁ……」 舌を動かしてやるたびに、司令官の手の中の霞の身体は、むずがるように震え、跳ねた。 彼はその体が逃げ出さないように、せめて抱きとめてやる。 骨ばった肩や、同じく無駄な肉のないすべらかな腰に手を回したとき、 本当に言葉どおり自分は霞を“抱いている”のだと、彼は頭の奥で実感した。 「な、なぁ霞……」 「ふぅ、ぅ……な、なによ……あたしをまだ、笑いものにしたい?」 唇を離して、霞の呼吸がだいぶ落ち着いたのを見計らって、司令官は話しかける。 「いや、そうじゃなくてだな……」 ぶるん、と。司令官は自身の怒張するモノを指で持ち上げてみせる。 霞がちょっと顔を赤らめた。 「ごめん、その、もう……挿れないと、もちそうにない……」 なるほど確かに司令官の単装砲は、もうほとんど触れるか触れないかの距離にある霞の秘所の上で硬く屹立している。 さっきの霞の責めと、また自分に責められた霞の反応が、彼をここまで昂ぶらせたのだろう。 もしかすると膝蹴りすら興奮の要因だったかもしれない。 ともすれば小高い丘になっている霞のソコに触れただけで、どくどくと精を吹きこぼしてしまいそうだった。 ふ、と霞がこらえ切れないように笑い出す。 「ぷ、あっはははっ! あははっ、もう、ほんとーに、あんたって……」 「うん」 「早漏おちんちんの、クズ司令官よね」 「うん、霞の言うとおりだ」 その返事にまた霞が噴き出して、目尻の涙を拭いながら笑い声を上げる。 司令官も笑う。 自分の情けなさをさらけ出してでも、霞が本来の調子を取り戻してくれるのが何より楽しいのが、この司令官なのである。 「あはは、はぁ、はー……もー、ほんっとに、しょうがないったら……ね、そんなに、あたしの中に挿れたいの?」 「ああ……挿れたい」 「もうおちんちんの辛抱、できそうにないのね? ちっちゃいきつきつの駆逐艦のあそこの中で、たくさんおちんちん気持ちよくしたい?」 「うん……霞の中で、気持ちよくなりたい」 「ふふっ……そーよね。ほんと、見てらんないったら……」 言いながら、おずおずと自らの割れ目を、二本の指で広げてみせる霞。 「いいわよ、許可をあげるわ……あたしの中に挿れて、思う存分、おちんちんおしおきされちゃいなさい」 * 膝をM字に開き、自分の中心を指で広げていざなう霞の前で。 ひざまずきながら、そのぱっくりと空いたピンクの蜜穴に吸いこまれるように、自らの屹立を震える手であてがう司令官。 「霞……いくぞ」 「ええ、いつでも来なさい」 すでに濡れて透明に光るものを滴らせるソコを、谷型に割り開いて、司令官の剛直が押し入っていく。 霞が、注意しなければ気づかないほどに、ほんの少し顔を歪める。 ようやく首まで埋まった亀頭を押し返すように、洞の中はきつく、狭い。 どんなに霞自身は司令官のソレを受け容れようとしていても、幼い肉の抵抗は強烈だった。 「ね、ほら、もっと、奥、にぃっ……」 「あ、霞っ、わかってる……く、あぁっ……」 霞は司令官の首に手を回すように、司令官は霞の肩に手をかけるようにして。 二人は自然に、より深く繋がるための体勢になっていた。 それと同時に霞の深奥を目指す先端が、ぷつ、と、何か決定的な膜のようなものを貫く。 「いっ……は、ああぁっっ……!!」 霞の上げた声は、高く、痛切だった。 司令官は驚いて腰を止めるが、その途端、キッと向き直った霞に咎められる。 「なに、腰、止めてんのよっ……」 「い、いや、霞のためにと思って」 処女喪失の痛みで、霞の中自身がひくひくと収縮するのを、司令官は繋がっている部分から感じている。 「誰も、動きを止めていいなんて、言ってないわよっ……! あんたが腰を止めていいのは、 その早漏おちんちんが音を上げて、しゃせーしちゃったときだけなんだから……っ!!」 その言葉とともに、霞が痛みに震えていた足を持ち上げて、ぎゅっ、と両の脚で司令官の腰を抱く。 いわゆるカニ挟みの、容赦ない姿勢である。 霞がぎゅうっと、細い脚に艦娘特有の万力をこめると、後ろからの押し出す力で、 司令官は無理矢理に、霞の中へと自分の砲身を突き立てさせられた。 「う、あぁぁっ……!! 霞、霞ぃっ……!!!」 にゅく、にゅくく、と。 男を迎え入れるにはあまりに狭くきつすぎる穴。 その中に、自分の意思に関係なく挿入り込まされる感覚は、筆舌に尽くしがたかった。 分け入るたびに、お返しのようにぞぞ、ぞぞっ、とこちらの敏感な部位を刺激し、快感を与えていく襞の数々。 先ほどの霞の口の中などよりもずっと熱い、絡みつくような愛液で濡れそぼった秘肉の感触。 そしてずっぽりと肉茎の根本までが埋まると、同時に司令官の先端が、霞の最奥をこつんと小突く。 「ああっ……霞、な、んか、こりこりしたのに、当たって、うああぁっ……!!」 司令官の先っぽとちょうどキスするように当たっているのは、霞の子宮口の部分だった。 膣内のどこよりも、ひときわ固く締まった場所。 そこに自分の一番敏感な鈴口を、ぐりぐりと押しつけられている。 逃げようにも腰は押さえられていて、抜くことすら出来ない。 それが司令官の今の状況だった。 「んっ……ぜんぶ、入ったのね? ならそこ、しゃせーするのにはベストな場所じゃない? そのままガマンしないで、一番気持ちよくなったときに、ぴゅーっ、ぴゅーっ、って出しちゃったら?」 そう言いつつ、もっと強く腰を押し込むかのように、脚のホールドを強くする霞。 それでなくても、処女を突き破ったことによる達成感で高揚している司令官だ。 今の霞に拘束されているという焦燥感の中、子宮口での種付け射精をねだるような言葉を耳元でささやかれ続けては、 本当に霞の深部に押しつけられたまま、射精してしまいかねなかった。 「か、霞っ、頼む、腰、ひ、引かせてくれぇぇっ、先の方ばっかり刺激されて、このままだと、あ、くあぁっ……!!!」 「あら、おしおきに手心加えてほしいって、そう言ってるワケ? じゃあちゃんと、つかまえなくっても、しゃせーしちゃうまで腰振るって、約束できるかしら?」 「あぁぁっ……約束、約束するからっ……!! 脚、ほどいてくれないとっ……!!」 霞が痛みを耐えながらなのにも関わらず、主導権は替わらないような、そんな二人のやりとり。 あきれるように霞が脚をほどくと、司令官は入り口までペニスを引き戻す。 そして肩で息をしながら、おそるおそるの抽送を開始した。 霞の中が十分に濡れているとはいえ、相変わらず内側はキツいままだ。 あるいは本当に、霞の体そのものが彼に“おしおき”を加えているかのようだった。 「なあ、霞……霞は、その……気持ちよく、なってるのか?」 ピストンで弾む呼吸の合間に、司令官が質問する。 さっき引き抜いたとき、自らのモノに血がまとわりついていたのが、痛々しくて気がかりだったのだ。 何より、霞がただ苦痛でしかない時間を無理に平静を繕って耐え忍んでいるのなら、 それは司令官には我慢ならなかった。 「あたしが、気持ちよくなるかならないかは、んっ、おしおきに、かんけーないでしょっ」 霞がきっぱりNOと言わないのは……つまり、まったく霞自身感じていないわけではないからなのだろう。 霞は嘘は言わない性格だ。 「……関係ないってことは、霞が気持ちよくなってもいいんだな!?」 「え、あぁっ……!? ま、そうね、気持ちよくなるのは別に、んぅっ、悪いことじゃ、ないものっ……」 霞がしまったというような顔をする。 「……でもあんたに出来るの? いまだって、おちんちんがすぐにでも発射しちゃいそうなの、我慢してるんじゃない?」 「で、出来るかわからないけど、俺はせいいっぱい、霞にも気持ちよくなってほしいから、さ」 そう言うと、霞の薄い胸の真ん中に顔をうずめる司令官。 「あ、ちょっと、どっ……ドコ、舐めて……や、ああぁぁっ!!」 霞の胸の先端で、ひと突きごとに艶めかしく震えながら主張している、ピンクの突起。 司令官がそれを吸い上げたのだ。 ずちゅずちゅと太いモノが出たり入ったりしている秘裂の上で、 傘をかぶってぽつんと立っている陰核の部分にも手を伸ばす。 「ふ、やあぁぁぁっ!! あ、それ、つよすぎてっ……!! だめえぇっ……!!!」 敏感すぎて皮にくるまれている霞の秘芯を、霞自身の柔肉で挟んで揉むようにして、司令官の指が刺激してやる。 性に開放的なこの鎮守府に務めるせいか、その指使いは奇妙に器用だった。 「やぁぁっ……あぁ、ダメ、ね、こんなの、あたしばっかり気持ちよくて、 これじゃ、あんたがイッちゃうときのみっともない顔、見れないじゃないのぉっ……!!」 「だ、だいじょうぶだ霞、俺も、そろそろっ……限界、だからっ……!」 そう言うと司令官は、霞の脚を膝の部分でつかんで持ち上げ、二人の結合部が、霞の頭より上に来るようにしてみせる。 「え、ああぁっ……や、うそ、やぁぁ、こんな、姿勢っ……!!」 否が応にも霞の視界に入る、その結合部。 いままで司令官の表情にばかり注視していた霞の目の前に、自分がいま行っている行為の、 いちばん鮮烈な部分が、晒された。 自身の、処女を破られたばかりの幼い秘所が、 司令官の剛直をくわえて飲み込むようにして、それを離さないでいる様。 霞が下着を外したとき白く締まっていた恥丘は、 いまや上気したように赤く充血し、ぷっくりと熟れたように膨れている。 何より赤黒く勃起した司令官の砲が、霞のその最も秘された部分を征服し、 印を刻み込むようにして、ぐちゅぐちゅと上から突きこみ、犯しているのだ。 霞が思わず目を覆わんばかりの、卑猥な光景だった。 「霞、ほら、目、そらさないで、繋がってる部分、見てくれっ」 「や、ああぁっ、見ろって、なんで、ふ、んうっ……!」 霞が言われて目を向けると、確かに自身の征服者であるはずの司令官の怒張が、違ったものに見えてきた。 突きこむように激しく動いているのは、猛り狂っているというより、急いてるようにも見える。 ある瞬間を待ち焦がれながら、それを先延ばしにしたいみたいに。 とろとろと、その竿から滴る汗には、きっと霞からあふれ出した蜜ばかりではなくて、 ソレ自身がこらえきれずに零してしまった、先走りも混じっているだろう。 「な、霞、わかるだろっ……もう、根本の方、はち切れそうでっ……!!」 「あ、んぅっ、これが……そうなの? クズ司令のおちんちん、ん、やぁっ、あたしで、気持ちよくなっちゃってるのっ!?」 「ああ、そうだ、霞っ……! お前の中、きつくて、気持ちよすぎてっ……!!」 「ああぁぁっ……!! し、司令官も、あたしと同じ、なのぉ……っっ!!? く、ふぅぅんっ、腰のっ、ところっ…… ずくずくして、気持ちいい、えっちな気分が、登ってきて、お腹の奥、そわそわして、我慢できないっ……!??」 「うんっ……弾けそうだっ……!!」 その言葉を証明するように、司令官はさらに腰の動きを激しくする。 いまや霞の腰を宙に浮かせて抱えている司令官は、打ち付けるとき、 自身を押し込むだけでなく、霞の脚をも引っ張り、引き込むようにしていた。 二人が一番深くで繋がるたび、霞の最奥、子供を作るための部屋のドアがノックされる。 「あああぁぁっ!! んやあぁっっ、おく、奥ぅっ、当たってぇぇっ……!!!」 霞自身の性感が目覚め始めてきたのか、さっきは痛みで痺れていたためか、 同じ子宮口への責めで、今度は霞が悶えながら声を上げる。 「だめ、ダメェっ!! これ以上されたら、あたしっ、は、あぁぁっ、んぅっっ……~~~~~ぁぁああっっっ!!!!!」 霞の吐く息に合わせて痙攣し、一気にとろとろとした愛液をあふれさせる霞の膣内。 その襞に絡めとられ、収縮する動きとともに、きゅうっ、と絞られたとき、 司令官もまた絶頂していた。 「霞っ、俺も、霞と、いっしょに、ああ、く、ああぁぁっっ……!!!」 今まで腰の奥で、もどかしく疼いていたマグマ溜まりのようなソレが、 どぷどぷと、堰を切ったように霞の中にあふれ出してしまう。 霞の快楽をより深いものにするために、止めずに司令官が腰を打ち付けるたび、子宮口が鈴口にキスを繰り返す。 こりこりと先端をくすぐる感触は射精を促されているかのようで、そこに触れるたび、 司令官の先端は情けなくぴゅぅーっ、ぴゅっ、と白い精の糸を噴き出した。 そうして内側に熱いモノが放たれると、それを感じて霞が身を震わせる。 同時に霞の蜜壷も、精を少しでも奥へ飲み込むかのように蠕動する。 その霞の快楽に呼応するかのように、司令官もまた砲身を震わせ、 残りの精液を霞の中へ幾度となく漏らしてしまう。 途方もない快楽の連鎖が、どちらが果てるともなく続くかのようだった。 * 「……え~っと、あー、霞、さん? ……あの、霞?」 「うるっっっさいわね、この、クズ。今夜はあんたの方から話しかけるの、禁止」 布団の上で二人、行為の後のまま横になって。 司令官にとっては至福に等しい状況だったが、当の霞自身が、裸の背中をこちらへ向けたまま、振り向いてくれようとしない。 平手打ちこそ飛んでこないが、また霞の怒りに触れてしまった状況なのは明らかだった。 それが霞特有の癇気なのか、あるいは、女ごころ、という奴なのかは謎だったが。 ……触れるのは、OKなのだろうか。 そう思いつつ司令官は、おそるおそる、小さな肩を抱いてみる。 ピクリ、と霞が身じろぎした。 「……ねぇ、クズ司令官。あんたもしかして、『女は初めてを捧げた男には情が移って、その男の言いなりになってしまうものだ』、 なんて、そーいう下品な俗説とか信じてるワケ?」 霞の仕掛けてくるピロートークは、相変わらず辛辣である。 「いや、別に……というか霞が俺を盲目的に好きになったり、言いなりになっちゃったら、困るかな……」 「へーぇ、じゃあ、司令官はあたしがどういう風なのがお望みなの?」 けれど、今夜だけで霞の罵倒に対する受け答えだけは上達したらしい司令官。 「今のままが、いいんだ。今のままの霞が俺はいい。きっとこれから先も霞に、どやしつけられたり、はたかれたり、するだろうけど…… そうすれば俺が、お仕置きとかご褒美とか、そういう霞のお情けにすがるんじゃなくって、もっと強い男になったときに、 ちゃんと霞にふさわしいくらいの男になったぞって、自分で自分を誇れるって、そう思うから……」 「……あら」 「まー、それにきっと霞に好かれたって、こういう態度は変わんないというか、きっと前より辛く当たられるだけだし……」 「~~~~~!!??」 「お、おい霞、どうした?」 「な、なんでもないわよこのバカっ!!」 図星を隠すかのように、司令官の手を払いのける霞。 「……まあ、今まであんたのことを、何度怒鳴っても改善しやしないグズだと思ってたけど、 叱られてちゃんと前向きな風にとれるんなら、ちょっとはマシな男って思ってやってもいいわね」 そう言いながら霞、布団の上でもぞもぞと裸の胸を反らし、司令官の方へと向き直る。 「ねえ、司令官。じゃあもう一つ聞くけれど」 「うん、なんだ、霞」 「あんたは一応、あたしのことを先に気持ちよくさせちゃったワケだけど、そんなあんたが他の艦娘に、 逆に先に射精させられちゃうようだったら、あたしはどんな風に思うかわかる?」 そう言う霞の顔は、火照ったように赤く染まっている。 「コホン……ということで、ひとつ提案だけど」 「明日も早漏おちんちんの特訓、するわよね?」 * 霞の左腕に付けられた腕時計の針が、深夜を差す頃。 司令官は昨晩と同じ、裸に剥かれた姿で、布団の上に正座していた。 ただしその手は先だってと違い、縄で後ろ手に縛られている。 霞によれば無用な抵抗やなんやかやを防ぐためとのこと。 そして霞はそんな司令官の前に腰を下ろし、 その両のふっくらした足は、靴下のまま、司令官の砲身を挟みこむようにして添えられている。 「あの、霞……もう少しこう、何というか……手心というか……」 「はいはい、我慢なさいクズ司令官。よく考えたらあたし、 あんたがしゃせーしちゃうときのだらしない顔見るのに、この姿勢の方がちょうどいいのよ」 霞が足で擦り上げるごとに司令官の砲身はその仰角を増し、切なげに先走りの露を先端から垂らす。 あるいはその興奮には、霞が脚をもぞもぞさせるたび、短いスカートから見え隠れする下着も、一役買ってるかもしれなかった。 霞はそんな一挙一動に司令官が身をよじらせたり、切なそうな声を上げるのを、 どこか満足そうな顔で見つめている。 「ん、そろそろいいわね」 頃合いを見て霞が呟き、手の中のストップウォッチを10分間に設定する。 「はい、それじゃ、スタートっ」 +後書き 378 :3-91:2014/03/29(土) 07 40 48.05 ID S1E+yebI 霞の積極的な罵倒から、司令官LOVE勢に通ずるほどの愛を感じる末期 でもちょっとデレさせすぎたので、痛くなければ覚えませぬという真のマゾ霞ニストからはお叱りを受けそう とりあえず戯れなれば書き逃げにて 長々と失礼しました